農地キャンプで、農地をキャンプ場にする

基本的に農地は栽培の場所として利用されることが求められます。しかし、農閑期や隙間スペース、農地転用などを活用することで、一部スペースをキャンプ場として利用することも可能です。農地キャンプは、観光客や自然愛好家にとって魅力的な体験になるに違いありません。

実際に市原市のキャンプ場「一番星ヴィレッジ」は、冬に生産するものを表作として、それ以外の期間をキャンプ場として利用しています。これはすべての農地でできる訳ではありませんが、農業振興地域外などで、できる可能性もあるので、実際に運営を行う際には、直接農業委員会に問い合わせみるとよいでしょう。

農地キャンプ場には、倉庫などの施設も建てることができます。これにより、災害時の備蓄や農作業での収穫物の保管など、さまざまな目的に活用することができます。

一部地域では、行政が建設した大規模なクラインガルデン(畑付き小屋)が存在しますが、ビジネスとしては収益が得られないケースもあります。その理由は、初期投資が過大であるためです。しかし、グランピングテントを導入することで初期投資を抑えることができます。グランピングは、豪華なキャンプ体験を提供するスタイルであり、自然の中で快適に過ごせる仕組みとして首都圏の消費者の大きな支持を得ています。

また日本の気候はドイツなどと比較して高温多湿であるため、畑と小屋から距離を離すことが望ましいでしょう。その理由は、小屋の前の畑の草が繁茂しすぎるからです。そのため、農地の場所(農業振興地域、農地転用が困難)と居住の場所(農業振興地域、農地転用が困難)の場所と居住の場所(農業振興地域外、農地転用が可能)を区分して、施設を設置した方がよいと考えます。

また、キャンプ場としての利用よりも、月定額で農地を貸し出す方が兼業農家の立場としては楽になるでしょう。キャンプ場の運営には多くの手間や管理が必要ですが、月定額での貸し出しでは収入を安定させ、面倒な運営作業を軽減させます。農地を利用する人々にとっても、長期的な利用が可能となり、栽培を計画的に行うことができるようになります。

農地キャンプは、「里山年金」を実現するための手段として、自然環境や地域資源を活かしたビジネスです。重要なことは、里山の広々とした農地の上の空間を利用して、収益をあげることです。耕作放棄地でも、農地として利用しない場合には、除草剤を利用することもできますし、防草シートを敷いた上に、砂利や瓦チップを置くことにより、除草作業を軽減させることも可能です。都会の人は、空間的価値を田舎より、はるかに高く評価しますので、試行錯誤の上、農地を利用することを考えてみてください。