農家には様々な特権がある

農業は一部の人々にとって魅力的な職業であり、この分野には意外なほど多くの特権が存在します。これらの特権は兼業農家でも当然利用することが可能です。これらはあなたの生活を豊かにし、かつ、新しいビジネスチャンスを生む機会となるはずです。

農家住宅

初めに、農家住宅という大きな特権について解説します。農家（漁業、林業も）は、特定の条件を満たす場合、市街化調整区域の土地や農地上に住宅を建設することが許可されています。これは他の職業には見られない特権であり、都市部のような狭い空間でなく、広々とした土地の中で生活と仕事を一体化できるメリットがあります。さらに、農家の家族にも恩恵があります。分家住宅制度を利用すれば、独立する子供たちや兄弟が農家にならずとも、近隣のエリアに自宅を建てることが可能です。

新規農地取得や取引

続いて、新規農地取得や取引に関する特権です。農家同士では、農地が1反(1000㎡)あたり約30万円程度で取引されるのが一般的です。また、農地は１反あたり年間約1万円程度で借りることが可能です。耕作放棄地が増える中、農地を新規に取得することができるのは、農業を拡大したい人にとって大きなメリットです。

兼業や副業の社会的必要性

さらに、兼業可能という特権も大きな魅力です。現代では、多くの企業や地方自治体が副業を認め始めており、農業もその一つです。厚生労働省は副業のガイドラインを作成し、公務員を含め、多くの人が副業に参加しやすくなっています。農業は競業規定にほとんど抵触しないため、他の仕事を持ちつつ、自分のペースで農業を営むことが可能です。少子高齢化で日本の人口が少なくなる中、今後ますますこの傾向は続いていくことでしょう。

節税効果

節税効果も見逃せない特権の一つです。本業を続けながら農業を行う場合、本業の収入と農業の収入を合算し、損益通算が可能です。農家としての立ち上げ時には多くの経費がかかるため、しばしば合算することで損失が出ます。これが税金の軽減に繋がるのです。個人事業主の届出などの手続きが必要となりますが、今まで経費化できなかった自家用車やガソリン代、旅費、交通費、PC代なども経費算入が可能です。疲弊していく日本経済の中で、自己防衛のためにも脱法ではない節税を求めることは必要です。

自家消費

自ら栽培した作物を家庭で消費することで、生活費を抑えることができます。JA雑誌「家の光」によれば、これによる年間の利益は15万円以上にもなるとされています。地域間で作物を交換するなど、コミュニティから譲渡されるものもあります。稲作を行えば、1反で米は500kgはとれるので、10人が1年間食べる分が作れる計算になります。農水省の統計から1反の作業時間は年間で約22時間ですので、はじめは大変でしょうが、慣れてくれば、どんどん必要な時間は減るはずです。冬からはじめ、秋には、すぐに家族の自給率を100％にすることができるでしょう。

各種補助金

各種補助金も農家の大きな支えです。農水省からの補助金はもちろん、場合によっては経産省からの補助金も受けることが可能です。これにより、新たな設備投資や技術開発など、農業ビジネスの拡大を後押しします。まだ兼業農家だけを対象とした補助金は少ないですが、政府では多様な農業のあり方を認める方針を打ち出しているので、今後は増えていくことが見込まれます。また認定新規就農者や認定就農者の認定を行政から受けることで、低利や無利子で融資を受けやすくなったり、補助金の対象となったりする場合があるので、農地取得後には、こちらも検討すべきです。ちなみに、兼業農家でも認定は取得が可能とされています。

倉庫建設

最後に、倉庫建設の特権です。農家は自分が管理する一団の農場内の200㎡以内で、倉庫を建設することができます。この中には仮眠施設やシャワー、トイレなども設置可能です。自宅を都内に持っている人は、農家住宅を建てることができませんので、この倉庫をうまく活用することで、安価な簡易宿所は作ることが可能です。

これらの特権を活かし、農業を通じた新しい生活やビジネスの展開が可能です。これからの時代、農業はただの職業ではなく、ライフスタイルとしても注目される分野となるでしょう。次章では、これらの特権をどのように活用し、自らの生活やコミュニティで豊かに生活していくかをさらに詳しく探っていきましょう。