農家住宅とは?農地や市街化調整区域に家を建てる裏ワザ

目次
農家住宅の要件

今回は、農家住宅の解説を行います。都市計画法では、市街化区域では、市街化を推進し、市街化調整区域(以下調整区域)では市街化を抑制しています。そのため調整区域では原則住宅などが新規に建築ができません。よく田舎で、なんでこんなよい場所に家が建っていないのだろうというのは、この法律に由来する場合が多いです。また調整区域内に存在している既存家屋は、都市計画法前に建っていたもの、あるいはその土地に再築したものがほとんどです。
調整区域内で農家住宅は例外的に建築が許可されることがあります。これは、調整区域が農地として保全される地域であるため、農業者の居住の便宜を図る目的で特定の要件を満たす場合に限り許可されているためです。
農家住宅建築の要件
- 農家証明(耕作者証明)がでること。
- 耕作場所と同地域にあること。
- 自宅を他に所有していないこと。
その他要件もありますが、主なものは上記となります。また建築面積の上限もあり、その点は各自治体の窓口で相談する必要があるでしょう。
居住用住宅の場合、一般的に建築面積は500㎡以内が目安とされ、倉庫や作業所を併設する場合は最大で1000㎡が目安とされています。ただし、具体的な面積上限については各自治体の基準に従う必要があります。
分家住宅とは?

分家住宅とは、市街化調整区域内の自己所有地に子、孫または兄弟の自己用住宅を建てる方法で、都市計画法に定義されています。これを利用すると農家住宅のみならず、子供たちの住宅も近隣に建てることが可能となるのです。子供たちは必ずしも農業者にならなくともよい点が特徴です。
多くの都道府県では、都市計画法施行前から市街化調整区域内に住んでおり、かつ分家住宅を建設するための土地を所有していることが条件となっています(例外あり)その場合には、新規就農者子息の住居は、現実的には不可能ということとなるのですが、子息が農家になること自体はできるので、新たに農家住宅として建設することを考えた方がよいでしょう。
兼業農家も農家住宅を建てられるのか?

耕作者証明が発行される場合は、兼業農家でも農家住宅の建築が可能です。ただし、二拠点生活などで他地域に自宅などがある場合には厳しいのではないかと考えられます。また急な転勤などで自宅を手放さなければならないような場合には、用途変更手続きすることで可能ですが、一般的に難しいとされているので注意が必要です。
千葉県での農家住宅
ここでは千葉県での農地住宅建設に関して考えてみます。基本的には、どこの行政区で農業をやっているかで建設可能地が変わります。例えば茂原市で農業をやっていて、成田市で農家住宅を建てることは不可能でしょう。しかし近隣の市町村の縁辺部で農業をやっており、その場合には、該当市町村の農業委員会から耕作者証明を出してもらい、それをもって近隣市町村と相談して建設することは可能となるでしょう。
一般的には、転勤や死去などやむを得ない理由がある場合には10年で用途変更が認められることがあります。それ以外の理由で用途変更を行う場合には、20年の経過が必要とされることが多いです。各市町村で異なる場合があるので、確認が必要です。
*用途変更とは、農家住宅から一般住宅に変更し、誰でも購入や居住できるようにすること。
農家住宅とフラット35の利用に関して

農家住宅を建てる場合には、やはり金利の安い政府公認のフラット35を利用したいところではあるけれど、それが可能かどうかということに関しては、住宅機構に確認し、可能という答えを頂いています。しかしながら問題となるのは、住居部分は可能であるが、それ以外に事業用部分をどう捉えるかということとなります。フラット35は事業利用を禁止しているため、この点は明確に分けて申請しないと一括返済を求められたりすることとなるので注意が必要です。
農家住宅には担保価値が低いとみなされる場合があり(市街化調整区域内で他人に転売しにくいため)、そのため金融機関の審査が厳しくなる可能性があります。そのため、農業者に理解があるJAバンクを利用することがよいかもしれません。
農家住宅説明動画
農家住宅とは、都市計画法の位置づけで、市街化調整区域という市街化を抑制される地域に農家が自宅を建てられる制度です。つまり簡単にいうと農地に家を建てられるため、非常に安く、広く自宅を持つことができる仕組みです。その内容に関して、元農水官僚の橋本剛さんの解説してもらいました。
追記、白地地域の農家住宅建設に関しては、余りないように発言しましたが、その後調べていくうちに、農用地区域にも農家住宅の定義が存在します。動画では、都市計画法に基づいた農家住宅ですが、それ以外にもこの農業振興地域内農地にも建設が可能である旨が指摘されています。農業振興地域内には農用地区域もあり、そこには原則として農業者以外は住宅を建てることができません。
また、農業委員会は、新規就農者等の就農に当たって農地のあっせん等の相談を受けた場合には、住宅等を建設する希望の有無を併せて聞き取り、建設を希望する土地が農用地区域内にある場合は、速やかに市町村の農業振興地域制度担当部局に連絡する。(出典:農業振興地域整備計画の変更に係る事務手続等の迅速化について
このように農水省も農業委員会に指導をしています。国のお墨付きもある訳です。
チバニアン兼業農学校の農家住宅への試み

都市近郊のサラリーマン向け農家住宅
農家住宅の制度は、都市近郊の市街化調整区域での建設は、元々制度の発足時には想定をしていなかったものと考えられます。しかし平成期からの都市の急激な拡大により、市街化区域と市街化調整区域との価格差が大きく広がり、開始時点との大きな解離が見られます。しかしながら農業者の人口減や高齢化により、特に問題化することなく旧来のまま続いています。
市街化区域近郊の農家住宅の価値は高い。
上記の状況のため、実際に市街化区域近隣の市街化調整区域に農家住宅を建てた場合、土地の値段は10分の1、広さは4倍、インフラは同じということになることもあります。特に千葉市のように政令都市での農家住宅建設には、経済的メリットも考えられ、住宅が密集することもなく、災害にも強い住宅も可能となるでしょう。また消費地が近いということで、販売の側面からも好状況の場所を選ぶことも可能です。特に兼業農家の場合には、農地を自由に選択できるという利点を活用して好立地を選ぶべきです。
子供たちも兼業就農させる。
農業者の極端な減少から、その価値は向上し、元々兼業農家向けの栽培物を選択することで、分家住宅ではなく、本人が農家住宅建設するという選択肢もあるでしょう。また非常によい点は、兼業就農する際において、その人たちそれぞれのキャリアを全く変えずに就農できるというメリットもあります。農業者が減少する中、兼業農家こそ、子供たちを就農させるべきだといえるのです。
農家住宅を建てたい人の多くが、余りにこの専門の情報が少ないために、いろいろと調べて当校サイトから問合せを頂く場合があります。通常の農学校と比べ、当校は栽培だけではなく、農業を通じて人生を豊かにするということを目指しています。そのため、農家住宅を建てることもその内の一つの方法だと考えています。農家住宅を建設するには農業者であることが求められるため、その点を踏まえて検討する必要があります。当校では農家住宅についてのご相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。