農地をキャンプ場にできるか?

現実に農地がキャンプ場になるのか?

オンライン入学説明会の質問コーナーにて、一度に2人、農地でキャンプ場をやりたいという質問を受けましたのでお答えしたいと思います。ちなみに農地に小規模なキャンプ場を作り、副業的な収益をあげるということを当校では推奨・研究しています。そのため、その他農地利用を含めて特化したグループで情報収集、情報交換を日々行っています。

最初に「キャンプ場」を定義しなければなりません。基本的に、区画を貸してテントを張らせることをテントサイトといい、これは保健所の許可がいらない簡易な開業手法です。他にグランピングなどの常設施設は、保健所や消防署の許可が必要となり、開業のハードルが高くなるため、ここではテントサイトに関して述べたいと思います。またテントサイトのキャンプ場では、旅館業法の許可も不要となります。

まず結論からいうと農地にキャンプ場を設置することは法的には可能と考えています。その理由は、実際に農地上においてキャンプ場開設の実例が多々あるからです。またこの「農地」は、農地転用を行い、他の目的に地目変更した場合ではないことにご注意ください。農地転用を行った場合には、農地ではないため、一般的なキャンプ場ということとなります。

具体的な事例としては、市原市にある一番星ヴィレッジ、香川県にあるOKI Olive Gardenがあります。この二つにはテントサイトもあり、農地を最大限効率的に使っているといえるでしょう。

農地キャンプ場の条件

農地をキャンプ場として営業する場合の注意点としては、裏作期利用であること、空きスペース利用であること、農業委員会で正式に一時転用の申請を行うことが必要となるでしょう。また念のため、保健所や行政に、事業計画を伝え、各種許可が不要なことも確認ください。

裏作時利用を説明をしますと、原則、農地では栽培を行う必要があります。例えば、麦などの栽培であれば冬の時期となり、そこが表作となります。麦の栽培が終わった時期は未利用でも構わないのですが、その時期に一時転用を行い、キャンプ場として活用できると解釈しています(ただし、各農業委員会で見解が違う可能性はあり)

空きスペース利用の事例で、例えばオリーブのような樹木を栽培するためには、間隔をそれぞれ6mほど必要です。その際には、かなり広大な空きスペースが生まれ、そのスペースをテントサイトに利用できることとなります。この際にも一時転用の申請をすることで法的に問題なく営業できるのではないかと思います。

現在、農家レストランという定義で、レストランも農業用施設として条件付で認められていますので、青空レストランのような簡易な形式で併設することも可能です。詳細は、下記のページリンクを参照ください。

農地利用の利点

農地を利用する利点としては、土地代が安い、その場で収穫体験ができる、新たな開墾作業が不要である、農閑期を利用できるなどではないでしょうか?

もともと、農地は農業者資格を取得しないと取引できないため、前提として農家か、もしくは農家と組んだ事業者しか始められません。そのため、農地の価格は売買、賃貸に関わらず格安となっています(1000㎡=30~100万円程度で売買、0~18000円/年間で賃貸)山林を切り開くためには、多額の費用もかかりますし、農地は原則平地にあり、よほどの長期間耕作が放棄されていない場合は、開墾も不要で、草刈だけで利用することもできます。その結果、初期投資を抑え、小規模でも始めることが可能となるのです。

またテントサイトが農地近くにあることで、収穫体験や農業体験も可能です。農業系の体験は、里山を利用した養蜂、筍掘り、芋掘り、オリーブ搾油など様々な体験が可能ですので、他のキャンプ場との差別化もはかることができるでしょう。露天でのバーベキュー炉やピザ窯を利用した収穫直後の食事も体験することができます。

農業を行うことが前提のため、農繁期に栽培をする必要があり、いわゆる二毛作をすることができます。昨今、日本のカレー専用の米、「華麗米」などもあるので、そのような面白いものをその場で味わえる機会を作れば、より魅力的なキャンプ場を作ることができるでしょう。

更なる農地キャンプの進化とまとめ

実は、単なるキャンプ場でも同じなのですが、地元の行政に頼み、ふるさと納税で入場料を納めることも可能です。少しハードルが高くなりますが、現地決済でふるさと納税を行うことも行政と連携すると可能です。野菜の収穫や直売もその場で決済を行うことでふるさと納税にできます。

また空間利用ができると考えると貸し切りのドッグランなどを作るのもよいかもしれません。貸し切りであれば、家族とバーべーキューを楽しみながら犬と遊ぶこともできます。

当校志望者の一部の人は、農業+キャンプ場のような在り方を考えている人が多いです。ただこの場合も前提として、農業者資格を取得しなければ、そもそも農地を持つことができないので始められません。農業者と協力してやることはできますが、少し遠回りになってしまいますし、高齢化でなかなか理解をしてもらえない場合もあるでしょう。そのため、まずは兼業でも農業者となり、地域の人たちの理解を得ながらキャンプ場をゆっくりと作っていくやり方が望ましいと考えています。

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