農地購入、農地転用、裏ワザや抜け道を解説。農地法3条の考え方

農地法第三条、わかりやすく解説します。
農地法第3条は、農地の権利を売買もしくは賃貸により移動させることのことを規定します。この3条は農業者同士の取引であり、農地転用を前提とした農地取引ではないことを注意したい(それは5条)この許可を各市町村の農業委員会より得ることで、晴れて農業者となるわけだが、この許可がなかなか下りないことが兼業就農を難しくしているのだ!d[×ノД`]b
さて、農水省の見解「農地の売買・貸借・相続に関する制度について」によれば、農地の取得に関しては、「農地法」と「農業経営基盤強化促進法」の二つがある。まずは前者の農地法から兼業就農の成り辛さを検討してみよう。
農地の取得要件
- 農地すべてを効率的に利用すること
- 必要な農作業に常時従事すること
- 一定の面積を経営すること
- 周辺の農地利用に支障がないこと
このような要件に、さらに適正技術要件が付け加えられています。兼業就農する際に、一番気になることは、必要な農作業に常時従事するということの日数が、原則150日となってることでしょうか?この結果、週末農業だけでは104日間。祝日をプラスして120~130日とされています。この結果、本職を持つ人は、この条件をほぼ満たすことはできないということとなります。ただし、この150日は、実は8時間労働をしなさいということではないので、何時間と具体的な指定はなく、ムニャムニャとされています。いや、本当に、読んでいてわからん。一応、農業経営も含むということでマーケティングや関連事務作業も含まれています。解除条件付き契約を結んだ場合には、常時従事要件は不要となります。
一定の面積というのは、各市町村が決めた農地最低下限面積となります。最大で5反(5000㎡)で、下限は1反となります。ただし、ここにも抜け道があって、この条件は、農地法3条によるもので、農業経営基盤法に基づく際には、下限面積を要件としません。また3条においても果樹や野菜などの集積的な農地利用の場合には下限を要しないという項目もあるのだけれど、実際には機能していない状況です。また各市町村において別段の面積を定めることができます。
最後に周辺農地との共生という観点は、例えば無農薬を実施する周辺農地の中で、農薬を散布したりするようなことや広域で栽培を行う中で、ハウスを建てて邪魔になるような状況を指します。なので普通にやっている分には問題がないと思われます。
さて実務的な就農条件をまとめてみたのですが、この通りに農業委員会が検討してくれるかというと実際には難しいでしょう。別に裏技でなくとも就農する方法はいろいろとあるのだけれど、ほぼ先駆者もなく、公開される必要もないため、今までブラックボックスの中に入ったままでした。できれば、このブラックボックスをチバニアン兼業農学校で全国的に開けていきたいと考えています。
農地購入の裏ワザや抜け道はあるのか?

この場合の裏技や抜け道というのは、農地転用をして他の用途、宅地や雑種地に変更したいという意味だと思われます。まず宅地にしたい場合、裏ワザというまでもなく、農業者になれば農家住宅として堂々と宅地にすることは可能です。ここで問題となるのは、そもそも農業者になることが大変という問題はありますが、2023年の4月より農地法が改正され、農地取得の下限面積が狭くなったため、家庭菜園より少し広い面積からの農業者取得が随分楽となりました。そのため、まず農業者となり、農家住宅として建てることの障壁が低くなったと言えるでしょう。また太陽光発電であれば、ソーラーシェアリングとして、農業者であれば農地に建てることも可能です。
2023年の下限面積撤廃の後で、通作が遠距離であれば難しいかもしれませんが、近隣に在住していれば、農業者になることのハードルはかなり下がると考えられ、農地購入も可能な立場として農業者になった方が早いということができるかと思います。
補足:農地法3条の解説

農地法3条は、農地の維持・保全を通じて、農業の持続的発展を促進しようとするものです。この条文は、農地を他の用途に転用することを原則として禁じ、また、農地を取得する際の条件や、取得者の資格についても詳細に規定しています。
その背景日本は、面積に対して人口が多い国であり、都市と田園が密接に存在しています。過去数十年にわたり、都市化の進行や経済の変化に伴い、多くの農地が商業施設や住宅地に変わってきました。このような背景から、食料供給の基盤である農地が減少すると、食の安全や食料自給率が低下し、国全体の持続可能性に影響を及ぼす可能性が高まります。
具体的な例例を挙げると、都市部の近郊に位置する農地が、商業施設や住宅の開発によって失われていく現象は、多くの地域で見られます。この結果、その地域で生産されていた新鮮な野菜や果物の供給が減少し、代わりに遠方からの輸送が必要となるケースが増加しています。これは環境負荷の増加や、地域経済への悪影響など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
農地法3条の重要性このような背景から、農地法3条は、農地の無計画な転用を防ぐための法的な枠組みとして存在しています。農地の持続的な保全と利用は、私たちの食生活や文化、さらには国の持続可能性と直結しています。また、地域の伝統や風景を守る意味でも、農地の適切な利用と保護が求められています。
このように、農地法3条は、食の安全や環境、地域経済、文化など、さまざまな側面から私たちの生活を支える基盤としての農地を守るための法律として、極めて重要な役割を果たしています。