農家の実情を理解すれば、勝機も見える

当然のことながら現状を把握することは未来を予測するための重要なステップです。ここから日本の農業の現状を見てみましょう。

まず、人口減少です。昭和40年代、私たちが生まれた頃には、まだ1000万人以上の農家が存在していました。しかし、時代が流れ、令和5年ではその数は100万人弱にまで落ち込んでしまっています。農業人口は、急速に減少し続けており、今後もこの傾向は続いていくでしょう。

また農家の構成年齢は、60歳以上80%以上を占めています。これは、農業従事者が極端な高齢化しているということを示しています。高齢化は、結果として耕作放棄地の拡大につながっています。その面積は現在、富山県ほどに達しており、毎年小豆島ほどの面積がさらに追加されています。耕作放棄地の拡大は、獣害を招き、いまや大きな国道で猪が堂々と歩き回る始末です。

さらに、農業に全力で取り組んでいる新規就農者の平均年収は、なんと5年後で240万円程度という厳しい状況が続いています。また新規就農者のうち、3割は離農するというデーターもありますが、この収入ではやむをえないと言わざるを得ません。

一方、農業従事者の減少が進んでいる現状、まだ小さなうねりですが、多くの地域で新規就農者、特に兼業就農者を歓迎する動きが見られるのも事実です。加えて、2023年4月からは新規就農時点での下限面積がなくなるという、第二の農地開放といわれる農地法改正がスタートし、新たな就農者がより容易に農業に参入できる環境が整いつつあります。

農家の高齢化が進む一方で、逆にいえば高齢者でも十分に農業に参加できると考えることができます。これは、農業が高齢者でも続けられる数少ない職業であることを示しています。農村では、50代がまだまだ若手と呼ばれてしまうくらいです。

また耕作放棄地の増加は、この結果、農地の賃貸借や売買のハードルが年々下がってきているということにも通じます。新たに農業を始めようとする人々にとって、農地を手に入れやすい環境が整いつつあるのです。国道沿いの利便性が高い場所にあるのに農地法で縛られているような農地は、まさに里山の未活用資源です。

最後に、専業農家の年収が低いという問題ですが、兼業就農であれば本業の収入を維持しながら農業を始めることができます。つまり、専業農家の平均年収は参考にせず、自分のライフスタイルに合わせ、追加だけを考える収入計画を立てることが可能です。

このように、農業の現状をしっかりと理解すれば、未来も見えてきます。その未来は、自分で主導できるものであり、新たな可能性に満ち溢れています。それが「里山年金」の魅力であり、その作り方を、これからの章で詳しく解説していきます。

 ポイント 

?? 農業人口の減少や高齢化は、?むしろ我々に新たな可能性を与えてくれています。??田舎に根付くことで、?インターネットなどで公開されない有利な情報を得ることができるのです。?✨