新規就農者の現状と展望

新規就農

新規就農者の現状と展望

新規就農

日本の農業界は、新規就農者の動向に注目が集まっています。2022年2月現在、基幹的農業従事者は前年比5.9%減の122万5500人になり、新規就農者数も前年比2.7%減の5万2290人となりました。今後もこの傾向は続き、近い将来、100万人を下回ることも予測されています。しかし一方で、ここまで人口が減少するとその職業自体に価値が出てくると当校では、考えています。この記事では、新規就農者の現状と、彼らが直面する課題について解説します。

新規就農者の定義と支援

新規就農者とは、農業に新たに取り組む者を指し、特に青年等就農計画の認定を受けた者は、資金の借入れや投資資金の受給が可能です。新規就農者は大きく「新規自営農業就農者」「新規雇用就農者」「新規参入者」に分けられます。特に自営農業就農者は、他の仕事から農業への従事が主になった者を指します。

新規就農者の減少と高齢化

2021年の新規自営農業就農者は前年と比較して80%減少し、特に65歳以上が最も多い年齢層を占めています。この高齢化は、農業の持続可能性にとって大きな課題です。一方で、新規雇用就農者は15.1%増加し、特に49歳以下の若年層が増加しています。これは、農業法人などによる雇用機会の拡大が背景にあると考えられます。

農業継承の課題

多くの新規就農者は、親の農業経営を継承する形で農業に参入しています。しかし、経営継承者全体の82.2%を占める「新たに親の農業経営を継承」するケースでは、新たな挑戦よりも既存の経営を維持することが多い傾向にあります。これにより、農業の革新や多様化が進みにくい状況が生まれています。

新規就農者への支援と展望

新規就農者の増加と農業の活性化には、経済的支援だけでなく、教育や研修の機会の提供、農業技術の革新への投資が必要です。特に若年層や女性、Uターン就農者など、多様な背景を持つ人々が農業に参入しやすい環境の整備が求められています。

まとめ

新規就農者の減少と農業従事者の高齢化は、日本の農業にとって重要な課題です。しかし、新規雇用就農者の増加や、若年層への支援拡充が進むことで、農業の未来には明るい兆しが見えています。兼業農家を含む新規就農者への継続的な支援と、農業の魅力を伝える取り組みが、この課題を乗り越える鍵となるでしょう。

新規就農者の動向と農業経営への影響

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新規就農者の増加とその特徴

最近、新規に農業経営を始める人々の数が目覚ましく増加しています。2022年2月のデータによると、独自の資金や土地を調達して農業に参入した人の数は3,830人に上り、前年比で70%の増加を見せました。この中で、49歳以下の若年層は2,690人で、前年から4.3%増加しています。特に露地野菜作に新規参入する人が多く、全体の34.2%を占め、次いで果樹作、施設野菜作の順に多くの新規就農者が見られました。これらのデータは、農業への新たな関心と活力が高まっていることを示しています。

新規就農者にとっての資金調達

新規農業経営者にとって、資金調達は大きな課題です。就農時の資金不足に対応するため、全体の51.1%が何らかの形で資金借り入れを行っています。多くは青年等就農資金や農業経営体育成強化資金などの制度資金を利用し、その他にも農協や銀行からの民間資金を借り入れるケースもあります。しかしこの状況は、あくまでも専業農家の場合であって、兼業農家であれば、融資を受けるほど初期費用がかからない場合も多いです。

就農一年目の財務状況

新規就農者が最初の一年間で直面する経済的課題は厳しいものがあります。平均して、就農一年目に必要とされる費用は755万円にも上り、そのうち機械や施設への投資が最も大きな割合を占めています。これに対して、営農からの自己資金は平均で281万円、生活面での自己資金は170万円です。特に酪農を始める場合、初期投資はさらに高額になる傾向にありますが、酪農からの一年目の売上は比較的高いため、初期投資の一部を賄うことが可能です。

まとめ

兼業農家の方々にとって、新規就農者の増加は、農業界全体の活性化を意味しますが、同時に資金調達や初期投資の問題に直面することもあるでしょう。新規就農者は、制度資金や民間資金の利用、初年度の費用と収入のバランスを慎重に計画することが成功の鍵となります。また、兼業農家の方々もこれらの情報を参考に、自身の農業経営に新たな視点を取り入れる機会となるかもしれません。新規就農者の動向から学び、農業経営をより効果的に進めていくための知識と戦略を身につけましょう。

第三者継承と法人による新規就農の展開

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農業界では新たな風が吹いています。これまでの世襲による経営継承や新規就農とは異なり、後継者不在の農家から第三者が経営資産を引き継ぐ「第三者継承」が注目されています。この傾向は、兼業農家でも同じで、3年も里山で農業をやっていれば、既存農事業の継承を求められることも多いです。また、法人による新規参入も進んでおり、これらの動きが地域農業の維持・発展に新しい希望をもたらしています。

第三者継承の背景と意義

日本の農業従事者は高齢化が進んでおり、後継者の確保が大きな課題となっています。2020年の農業センサスによると、全国の農業経営体の約7割が5年以内に引き継ぐ後継者を確保していない状況です。このような中、2008年度からスタートした第三者継承制度は、後継者不在の農業経営体にとって一筋の光となっています。経営権や資産の一体的な引き継ぎを可能にし、農業の持続可能な発展を支える重要な役割を担っています。

兼業農家の事業継承

二拠点生活であっても就農をすることにより、田舎のネットワークの中に組み込まれます。ほとんどの場所では新規専業就農者がいない場合が多いため、農地、機械、事業、空家の継承を求められることになります。おおよそ5年もやっていれば、いろいろな声がかかることになるでしょう。そのため、兼業でも問題ないので、少しでも早く就農をして、その受け皿の立場を得ることが重要です。

法人による新規参入の促進

農業に新たな参入者を増やすため、政府は農地法の改正を進めてきました。2009年の改正では、法人が農地を借りて農業経営を行えるようになり、さらに、農地を所有できる法人の要件が見直されました。これにより、農地の流動性が向上し、農業生産法人などの法人による新規参入が促進されています。

農地法改正と農地所有適格法人

農地法改正の歴史を振り返ると、1952年の制定以来、農地を守り、耕作者の権利を保障することを目的としてきました。しかし、時代とともに農業への新規参入を促進する方向で規制緩和が図られ、農地所有適格法人による参入も可能となりました。

農地所有適格法人の要件

農地所有適格法人となるためには、いくつかの厳格な要件を満たす必要があります。これには法人形態要件、事業要件、構成員・議決権要件、役員要件が含まれます。これらの要件は、農業を本格的に営む意志のある法人に農地の所有を許可するためのものであり、農業の専門性を保ちつつ新しい経営体を受け入れることを目的としています。

まとめ

兼業農家の皆さんにとって、第三者継承や法人による新規参入は、農業経営の新たな可能性を開くものです。後継者不在による農業経営の停滞を防ぎ、地域農業の活性化につながります。農地法の改正による規制緩和は、より多くの人々が農業に関わる機会を提供し、農業界全体の発展を促しています。これから農業に関わろうと考えている方々にとって、これらの動きは大きな希望となるでしょう。

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