遺伝子組み換え作物と食品の表示問題考察
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遺伝子組み換え作物と食品の表示問題考察
遺伝子組み換え(GM)作物と食品に関する表示義務は、消費者の知る権利と選択の自由を守るために重要です。しかし、日本における現行の表示制度は、消費者が望む透明性からはまだ遠い状態にあります。本記事では、遺伝子組み換え食品の表示に関する問題点とその影響について、兼業農家や関心を持つ消費者に向けて解説します。
表示義務の現状
日本では、食品衛生法とJAS法に基づき、特定の遺伝子組み換え農産物とその加工食品に表示義務が課されています。対象となるのは、大豆やトウモロコシなど九種類の農産物と、これらを原材料とする加工食品です。しかし、この制度はEUなど他の地域のように、レストランなどの飲食店での全品目表示義務がないなど、消費者が求める範囲には至っていません。
表示義務の抜け道
日本では、遺伝子組み換えでないとされる食品加工品の多くが、実際には遺伝子組み換え作物を含んでいる可能性が高いにも関わらず、表示義務がない状態です。特に、醤油や大豆油などの日常的に消費される加工品において、その原材料の遺伝子組み換えの有無についての情報が不足しています。
家畜飼料と最終製品の表示問題
家畜の飼料に使用される遺伝子組み換え作物に関しても、その使用が最終的な肉や卵、乳製品に表示されることはありません。これにより、消費者は間接的に遺伝子組み換え作物を消費している可能性がありながら、その事実を知る手段が限られています。
遺伝子組み換え作物の輸入依存
日本は大豆、トウモロコシ、菜種などの遺伝子組み換え作物の大量輸入国であり、これらの作物の大部分が遺伝子組み換えであることが、表示義務の問題をより複雑にしています。消費者の選択肢が限られている現状は、遺伝子組み換え作物に対する理解と受容のバランスを取る上での課題となっています。
まとめ
遺伝子組み換え作物と食品に関する表示義務は、消費者の知る権利を保護する上で不可欠です。しかし、現行の制度では、消費者が完全に情報に基づいた選択をすることが難しい状況にあります。兼業農家や消費者が、遺伝子組み換え作物の使用に関する透明性を高め、より意識的な選択ができるように、制度の改善と情報提供の充実が求められています。
兼業農家の在り方
遺伝子組換え作物は常に大きな議論の的となっていますが、実際に、全てを解決することは個人にはできません。ただし、このような状況に対して、大きな反発を持っている人が多いことも事実です。そこで兼業農家はどう考えるべきかという案を出してみます。
小規模を最大活用
兼業農家のメリットであり、デメリットでもありますが、小規模で即時の成功を求めないでよいという特徴があります。これは、本業収益があるため、自分の理想の農業をやるために時間をかけてもいいということになります。そこでまずは、小規模で実験的に有機栽培、自然栽培をはじめ、遺伝子組み換えなどのない自然の野菜を育てることです。多分、初年度から長くて数年は満足のいくものが作れるかどうかはわかりませんが、肥料などを含め、自分が納得がいくものを作ることができるでしょう。
納得がいく作物ができるようになれば、今度は大規模化と収益化をはかります。この際も無理をせずに、体験農業などを組み合わせることで小規模で収益化を目指す方がよいと思われます。特に都市近郊農業の場合、意識の高い消費者はたくさんいますので、援農講義などを行い、実際に体験しながら購入してもらうとよいでしょう。