農地取得下限面積の変更と兼業農家の関係性
農地取得の下限面積が、来年度撤廃されようとしているため、農業参入が容易になるのではないかという意見が散見される。しかしもともと例外はたくさんあり、専業農家はある程度の面積を必要とするので、この撤廃は誰のためということとなるd[×゚д゚]ハッ!
多様な新規就農者を受け入れるということが目的であるとされているようだが、その中で特に、兼業新規就農を考えてみる。農業者(この場合は農地基本台帳に記載)になるためには、(1)農地取得要件、(2)常時従事要件(年間150日以上)、(3)技術要件、(4)農地適正利用が必要とされてきたが、一般的に(1)の要件が不要となることにより、参入が容易になるとみなされている。ただし、新要件として地域融和要件が追加されることにより、農業委員会の自由裁量部分も拡大される。
一番、難しいのは運転免許のように要件さえ満たしていれば取得できるものと違い、就農は地域との融和も重要だし、短期で耕作放棄された場合には、地元に迷惑もかけることとなる。そうなると単純に要件を満たしているから取得ということではなく、農業委員会の裁量部分が大きくなるのも当然だ。就農者はその管理農地を逃げることはできても、農業委員会はその後も続いていくのだから。
当然、個人的には兼業就農側の立場にあるのだが、逆に農業委員会の立場となり、こんな兼業就農希望者が来た場合どう考えるだろうか?都内サラリーマン50代、農地取得予定なし、技術経験なし、月週末二回ほど作業予定、農地は農業委員会での斡旋希望、地元に地縁まったくなし、特に引っ越してくる予定もない、二拠点予定。こういう方が農業委員会に訪ねてきた場合、どちらかというと地元との摩擦や紹介地の維持管理を気にして、やんわりと断ることになると思う。
実際、当校においても、将来的に人間関係の摩擦をおこしそうな人を、お断りした場合もある。当校の場合は、一部地域において農地の相互管理体制や技術支援体制、チャットグループを利用しているため、農地の適正管理を継続的にサポートしている。
例えば先日地域主催の草刈りに12人ほどのメンバーが参加したが、チャットグループで全員の出欠をとり、不参加の人には理由の提出を義務とした。そのため、すぐに作業が終わったと地域の方々に感謝されたようだが、まさにそれが地域との融和、共生だと思う。結果的に農地や地域における各種義務を当校が担うことで一定の保証機能を持っているため、農地を安心して任せられることとなる。先の例のように関係性がまったくない中で一人来た兼業就農希望者を受け入れるのは、なかなか難しい。
このような理由で下限面積の撤廃イコール就農機会(特に兼業)増加とはなりづらいと思るのであるd[×´з`]b