農業経営を兼業農家として考える

農業経営とは何か?

農業経営とは、農業という事業を行うことです。農業もこの場合、栽培を行うということと6次産業化や作業受託などの業を行うこと、インターネットを通じて販売を行うことなども含まれます。つまり趣味で野菜を作るということは、農業とはいえません。兼業農家の場合は、本業を持ちつつ、前述の農業を行います。そして事業である以上、収益をあげるべきだと思います。

農業の厳しさ

新規就農した場合の農業の厳しさは、農水省の各種調査によっても明らかです。新規就農者の5年後の平均年収は、約240万円。中央値は、180万円とされています。専業として、就農し、日々作業に打ち込んでいるのに、この数値は明らかに厳しいとしか言えません。補助金などを五年もらえるなどの優遇策もありますが、離農した場合には返還を求められるなどの厳しさもあります。初期投資、技術習得が必要とされるため、未経験での就農はかなり厳しいのが現状です。基本的には自転車操業となるため、長期間での展望や失敗が収益に直結するという問題もあります。5年後の離農率が3割というデーターもあります。

兼業農家の農業経営

基本的な考え方として、ここでは二種兼業農家(農業所得を従とする)を前提に話を進めます。つまり本業を持ちつつ、副業として農業を行う場合、どのような点に留意しなければならないかということですね。副業として就農する場合には、生活資金に余裕があり、実験的な挑戦ができること、節税対策になることが大きなメリットだといえるでしょう。

本業があるわけですし、そもそも初期では、農業で生活資金を得る必要はないわけですから、オリーブなどの収益化まで長期間を要する果樹を栽培したり、野菜でも小規模で練習的に始めることができます。つまり専業農家は、短期視点で農業を考えなければなりませんが、兼業農家は長期視点で考えることができるということです。例えば、オリーブであれば、1本の木から5年後に1万円程度の収益が上がるとされています。逆に5年待つことができれば、兼業でできる範囲で収益を上げることができるようになるのです。また実験的な野菜栽培に関しても、小規模で週末だけの収穫を道の駅に出して収益を上げるようなことも考えられます。途中、つぶれることがないわけですから5年~10年という長期で農業を考えることも可能です。

また本業がある故に、個人事業主の届出をだし、本業と損益通算をすることにより、節税効果を得ることも可能です。1年くらいでは、数十万円ですが、10数年となると数百万の節税効果があります。

定年後に向けて専業化へ

栽培の技術を少しずつ積み重ねていくことにより、定年後に専業化することも可能です。農業は周年作業のため、65歳で定年し、66歳が一回目ということでは、体力、気力共に厳しいのが現実です。やはり50代から少しずつ経験を積み、定年後に専業農家として就農することができれば、最も理想的な形での就農が可能です。また農業は、65歳以上の高齢者が70%とされていますが、逆にいえば、高齢でもできる仕事として最適です。

兼業農家として農村に片足をかけるメリット

兼業農家になることで、農村地帯に移住する際に得られる大きなメリットがあります。単に分譲住宅地に移住するのではなく、農村地帯で兼業農業を行うことによって、豊かな里山資源を利用することが可能になります。例として、チバニアン兼業農学校の生徒が睦沢町で温泉付き道の駅近くの民家(土地5000㎡)を70万円で購入した事例があります。このような機会は、農業に携わることで農村コミュニティ内で得られる情報から生まれます。さらに、農村は高齢化が進み、農地や機械を手放したいと考えている人が多くいます。具体的なタイミングは予測できませんが、兼業農業を行っていれば、数年のうちに新たな農地を借りたり、空き家を紹介されることがよくあります。これらのメリットは、兼業農業に従事していることが前提となっています。

まとめ・農業経営

農業はしばしば他の産業より神聖視されることがありますが、事業として成立しない場合、その継続には意味がありません。農業に情熱を持つのは素晴らしいことですが、経営がうまくいかずに農業をやめてしまう事態は避けるべきです。特に、本業で安定した収入がある場合、定年に向けて数年かけて農業の技術を身につけ、機械を格安で入手し、地域社会に溶け込みながら専業農家へと移行する方法は、失敗のリスクがほとんどありません。このようなアプローチを考慮に入れ、農業経営を検討してみることをお勧めします。

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