食料危機という真っ赤な嘘

食料危機という真っ赤な嘘

池田清彦氏の「食料危機という真っ赤な嘘」は、私たちが通常聞く食料危機に関する議論に新しい光を当てています。この本は、食料危機の概念がどのように誇張されているか、そしてその背後にある真実を探求します。

まず、日本の食料危機は、政府の減反政策から生じるという問題提起があります。この政策は、稲作農家に対して生産を抑制するよう求めるもので、日本の食料自給率低下に一因となっています。しかし、本書では、そうした政策の見直しと共に、昆虫食など日本古来の食文化の再評価を通じて、食料危機を克服する道を示唆しています。

昆虫食に関しては、ただの珍味ではなく、持続可能なタンパク質源としての可能性を探る視点が提供されます。このような伝統的な食材への回帰は、食料危機の解決策としてだけでなく、食文化の多様性を保つためにも重要です。

遺伝子組換え食品についても、根拠に基づく科学的理解を深めることで、無用な恐怖心を払拭し、食料問題の一助となることが強調されています。遺伝子組換え技術の適切な利用は、食料生産の効率化や栄養価向上に寄与する可能性があります。

また、人口減少をSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた機会と捉える視点も示されています。これは、人口減少が資源消費の削減につながり、結果的に持続可能な社会への転換を促すという考え方です。

最後に、森永卓郎さんが提唱するような自産自消の発想は採用されていないのが残念ですが、地域の食材を活用した持続可能な食生活への関心が高まっている現代において、この本が提供する洞察は非常に貴重です。

本の概要



「食料は輸入に頼らざるをえない」は日本政府自作自演のインチキ!


 遺伝子組み換え作物は将来、人体に悪い影響が出る
 昆虫食は国連に押し付けられた野蛮でまずい食べ物
 使っている農薬をみても、国産作物が最も安全
 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
 【全部ウソ!!】

アメリカの余剰作物のはけ口を拒めば日本の食料自給率100%は夢じゃない


 序章  なぜ日本の「食料危機」はウソだらけなのか
 第1章 近い将来、日本は「タンパク源不足」に陥る!?
     有事に強い「新・ニッポンの献立」を考える
 第2章 遺伝子組み換え作物のススメ
 第3章 昆虫食のススメ
 第4章 養殖魚・培養肉のススメ
 第5章 輸入の前に日本にあるものを食べよう
 あとがきにかえて――国民を飢えさせる政治家こそが最大の「危機」

日本の喫緊の課題は、輸入に頼りすぎているタンパク源の自給自足対策だ!


食料自給率を上げる可能性を持つ、遺伝子組み換え作物、昆虫食、養殖魚、培養肉、野菜工場などについて徹底解説。

著者について


1947年、東京生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、現在、山梨大学名誉教授、早稲田大学名誉教授、高尾599ミュージアム名誉館長。
専門の生物学分野のみならず、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する約100冊の著書を持ち、フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」にも出演する等、テレビ、新聞、雑誌等でも活躍している。また、「まぐまぐ」でメルマガ「池田清彦のやせ我慢日記」、YouTubeとVoicyで「池田清彦の森羅万象」を配信中。

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