50代、60代はなぜ就農が難しいのか?

農業人フェアで、ほぼ断られる年代

当校は、50代の比率がとても高く、最近は60代の方々もかなり増えてきました。その理由として、よく現地見学で言われることが、農業人フェアなどに行ったのだけど、どのブースを回っても、年齢的に厳しいと言われたり、または数千万円が用意できるかといわれる。悪いことは言わないからやめておきましょうとなるらしい。ここでは、なれないからこっそりとチバニアン兼業農学校に行けば、なんとかなりますよと公的団体がこっそりと教えてくれたりもするらしい。

これは前から思っているが、50代、60代は、原則農業人フェアに行ってもほぼどこでも断られてしまうため、本来、その旨記載した方がよいのではないかと思うのだが、さすがに集客に影響するのか、どなたでもOKということとなってします。

50代、60代の就農が厳しい事情

この年代の方々の就農が厳しい理由として、まずあげられるのが収入の問題でしょう。まず今の年収と同程度の金額を農業業界では保証できません。また体力的にも下り坂となってしまうのに、肉体労働の農業をはじめるには、遅いという問題もあるでしょう。また会社によっては、自分より年齢が高い人を雇うことはやりづらいという側面もあるでしょう。また新規就農の補助金も49歳未満となっていることからもこの年代の新規就農はやんわりと外されていることもわかります。農業が高齢者でもやれるとはいえ、大きな投資をし、回収するためには期間が必要であるということもわかりますので、一概に間違っているとはいえないでしょう。

またこの年代で未経験ということもハードルが高く、技術を覚えるためには一年間ほど農業大学校に行ってくださいといわれる場合も多く、しかもその倍率は5倍という現実があるわけです。必然的に、離職も必要となり、フェアでは自ずと目的難民となってしまい、さ迷わざるえないのです。

実際にその声は正しいという現実

上記のような理由からこの年代の就農が厳しい事実はわかってもらえるでしょうが、一方で参加者の優しさも垣間見えてくるのです。50代の人が十分な収入を得て、家族を養っているのに、それを捨ててこの業界に来るのはハイリスク・ローリターン。故に、なるべく婉曲的に諭すような方法で、やめた方がいいですといってくれるのも農業という厳しい選択をとった先人たちの優しさだと思っています。600万、700万貰っている年上の人に、業界に来たら300万に落ちた上に肉体的にきついですよとはいえません。

しかし業界では、若い世代でもある

全国的な農業者の平均年齢は、68歳ともいわれ、50代ではまだ若い方にあたります。また59歳以下の就農人口が、30万人ともなると50代で就農は業界にとって、まさに金の卵です。今後、平均年齢がさらに上がり、農業人口が減ることにより、就農者の価値は相対的に上がることになります。

当校の例でもそうですが、高齢化や後継者不足により、農地、施設、機械、果樹、技術、販売先などを一括で引き受けて欲しいという依頼を受けるようになりました。また急遽、高齢の農業者の方が引退、死去などにより、次年度の田畑継承の依頼も増えてきています。このような事実はスロースターターである兼業農家にとっては、とてもありがたいことだと思い、十年後には、修了生が地域の代表的な担い手になっているのではないかと思います。

50代、60代が就農するには、基本兼業就農しかない

個人的な意見となりますが、この年代の方が就農しようとすると雇用就農は厳しいため、本業を守ったままの兼業就農しか道はないと考えています。またライフスタイルとしての就農か、収益化としての就農、そしてその中間という希望があると思いますが、どちらにしても兼業就農が有利だと思っています。ライフスタイル目的ならば、田舎に住めば、ほぼ解決してしまいますし、収益としてもそもそも専業農家と手法が違うと思っているので、直近の収益は難しくとも長期間では年金以上の収益を上げることも可能です。(参考:里山年金の作り方)

そのため、当校を利用して同世代の兼業仲間を作りつつ、短期間で希望の場所で本業と両立しながら就農することもできるでしょうし、もし他でもチャンスがあれば、この世代は、兼業での就農をお勧めします。

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