60代の新規就農の意義について
農業は、世代を問わず誰にでも開かれた分野です。特に60代で新規就農を考える人々には、独特の意義と魅力があります。この記事では、なぜ60代の新規就農が意味深いのかを探ります。
60代の入学者増
チバニアン兼業農学校の入学者に60代の方々が増えてきました。人生100年時代といわれる昨今、60代で元気で活発な人は多く、定年などで新たな活躍の場を農業や田舎に見出したいということなのではないかなと思います。実際に参加されている60代の男女の方々は、やはり見た目も考え方も若く感じますね。当校の生徒としては、一番多い世代としては、50代の定年前の方々ですが、挑戦する意欲があれば、実際に年齢は関係ないと思います。
経験や年金などの活用
60代は多くの人生経験を積んできた年齢です。これまでの職業生活や趣味活動で得た知識やスキルは、農業においても大いに役立ちます。たとえば、ビジネスで培ったマーケティングの知見は、農産物の販売戦略に生かせるし、趣味の園芸経験は農作業の基礎となり得ます。また年金や不労所得などの基礎的収入があれば、趣味の一環として自給自足でゆったりとした労働も可能になるかと思います。特に60代であれば、子供たちも手離れしており、自身だけにお金をかけることができるということも有利に働くでしょう。
新たな挑戦
60代での新規就農は、人生の新たな章を開くことを意味します。定年退職後の時間を有意義に使う手段として、農業は新しい学びや体験の場を提供します。また、自然とのつながりを深めることで、心身の健康を保つ効果も期待できます。農業の平均年齢は、60代後半であり、70代や80代でも現役の方々はたくさんいます。この側面から考えると通常のコンビニバイトや警備員などよりも長く続けるということができるのではないでしょうか?これからの時代は、少子高齢化の加速で収入的にも生活を防衛するような手段が必要です。
世代間・地域間交流
地方の多くは高齢化に伴う人手不足に直面しています。60代が新規就農することは、地域社会への貢献となります。地域の伝統的な農法を学び、保存することは文化の継承にも繋がり、地域の活性化にも寄与します。ある方は、自身のお兄さんが孤独死をされたことをきっかけに、都会での孤独感を考えるようになり、拠点を田舎に移し、昭和のような関係性がある生活を望まれるようになったそうです。移住就農は、単なる引越とは違い、農業を通じて、地域社会と大きく関わることとなります。また共同作業や集会なども頻繁に行われることから、寂しさを感じることは決してないでしょう。
千葉県での田舎生活
よく田舎に行くと地元の人が固まって、都会からの移住者が孤立するような記事がありますが、この点を千葉県の今までの経験でいうならば、少し違うように感じています。例えば、新規就農者と田舎の人の日々の付き合いの中で、都会の感覚と田舎の慣習や文化の違いということが取りざたされる訳ですが、千葉県の場合、もともと東京に近いということもあり、いろいろと構えて地主さんに会いにいったら、本人よりも地主さんの方が高学歴で、海外勤務経験ありの上場企業の定年者で都会的であったというようなこともありました。東京から近いということは、やはり都会の文化・慣習にも近いということとなり、全く田舎の問題がないということではありませんが、千葉県は、閉鎖された田舎というような問題はないのではないかと思います。
移住により新たな里山年金を作る
里山には、都会にない様々な収益源を見つけることができます。例えば、空家の再利用、山菜やタケノコの収穫、高齢化による草刈の需要、農作業の受託、6次産業化による農家レストランなどの体験イベントの実施など、都会では簡単にできない様々な収益源を移住することで見出すことができるようになるでしょう。便宜上、私はこれらの里山から得られる収益を里山年金と名付けています。その理由は、里山から得られること、そして年金程度の軽い収入という意味があります。この里山を通じた収入確保に関しては、別途紹介記事がありますので、ページ下部を参照ください。
また都会に持ち家などがある人は、まずは都会の家を貸し出し、家賃収入を得ることをおススメしています。田舎の家は安いので、その差額だけでも10数万に至る場合もあります。売ることをお勧めしないのは、いざ水が合わなかった際に帰る余地を残しておくためです。
しかし60代の就農の壁は高い
しかしながら農業委員会により、法的な就農者になるためには、60代はかなりハードルが高いことも事実です。人生100年時代といわれる昨今でも受け入れ側の農業委員会としては、若年層の新規就農をより好む傾向にあります。そのため、移住だけならば、歓迎ムードだったとしても就農するには、60代は遅いという見方をされ、結果的に多くの方々がはじかれてきたという話もよく聞きます。
当校は、日本で唯一の兼業就農に特化した農学校としての経験や知見から60代の方々の新規就農を実現してきた実績があります。申請の方法や適切な営農計画、技術習得をすることにより、年齢にかかわらず、新規就農をすることは可能ですので、迷ったらぜひ当校にご相談ください。入学に関して、60歳以上の方に対しては、別途5万円の割引をしていますので、活用頂ければと思います。
結論
60代での新規就農は、多くの意義と可能性を秘めています。人生経験を活かし、新たな学びと挑戦を享受することで、豊かなセカンドライフを送ることができます。また、地域社会や環境への貢献という大きな価値もあります。これからの人生を充実させたい60代の方々にとって、農業は魅力的な選択肢の一つです。