農家の年収、しんどい…

農業者の平均年収

2021年における日本の農業経営体の平均所得は、農林水産省の「農業経営統計調査」によると、125万4,000円でした。この平均所得を個人経営と法人経営に分けると、個人農家の平均所得は115万2,000円、一方、農業法人の平均所得は424万5,000円となっています。農業の種類や生産する商品によって異なるものの、一般的に農家の年収は150万円から300万円程度とされています。これは、一般的なサラリーマンの平均年収が約400万円前後であることと比較すると、比較的低い水準です。さらに、副業として農業を行う人々の平均収入は年間51.1万円と報告されています。農業の所得は経営内容によって大きく変わるため、会社員の収入と単純に比較するのは難しいと考えられます。
ただし、この平均所得が正確に農家の実態を反映しているかどうかについては、年齢や立場による考慮も必要です。農業者の平均年齢は68歳と高く、かなり高齢の人たちの所得も母数に入っていると思われます。そのため、本来ならば生産年齢である15~65歳を母数として再計算する必要があるでしょう。残念ながら年齢別の所得は見つけきれなかったため、詳細な分析はできませんでした。しかしこれを考慮すると、実際の農家の年収の状況はかなり変わってくると思われます。また、農業経営の規模や効率性、販路の確保など、様々な要因が農家の収入に影響を与えることも忘れてはいけません。
兼業農家の平均所得

平均所得は、51万円となっているようですが、中央値は約100万という調査もあるようです。兼業農家の多くは、稲作と自給農だと考えられます。もともと、一般的な兼業農家は、どちらかというと消極的農家です。また兼業農家の平均年齢は、全体の平均年齢よりさらに高い可能性があります(調査結果なし)そのため、当校生徒のような積極的な兼業農家の所得は、より高められると考えています。元の額も低いですし、取り組む意識も違います。そして収益を上げる手法が大きく違えば、この兼業農家の平均所得に関しては、ほぼ気にする必要はないといえるでしょう。
特に、農家の年収を考える上で重要なのは、兼業農家の場合、農業以外の収入源があることです。この点が専業農家とは大きく異なります。例えば、会社員として働きながら週末や休暇を利用して農業を行う場合、農業からの収入は副収入となり、生活の安定性が高まります。また、農業技術や経営スキルを向上させることで、徐々に農業収入を増やしていくことも可能です。このように、兼業農家は柔軟な収入構造を持つことができ、それが農業に取り組む上での大きな利点となっています。
結局、農業は儲かるのか?

農家の年収を考えると、新規参入の専業農家の場合、かなり厳しい経済状況に直面する可能性が高いです。年間150万円の支援金が存在する理由は、農業の構造的な収益性の低さにあります。機械や施設への多額の初期投資が、その後の所得に大きな影響を与えています。新規就農者の5年後の離農率が35.4%という高い数値は、農業経営の難しさを如実に物語っています。また、5年後でも年収が240万円程度にとどまるという現実も、農業の収益性の低さを示しています。
もちろん、収益を上げている農家も存在します。しかし、他の産業と比較すると、その割合は非常に低いのが現状です。むしろ、成功している農家が少ないからこそ、メディアで取り上げられる機会が多いという側面もあります。平均的な農家の収益性が向上しない限り、新規参入者の増加は見込めないでしょう。
農業の収益性を向上させるためには、効率的な生産方法の導入や高付加価値作物の栽培、直売所やオンライン販売などの販路拡大といった取り組みが重要です。また、6次産業化や観光農園など、農業の多角化も収益向上の手段として注目されています。しかし、これらの取り組みには、経営スキルや市場分析力、マーケティング能力などが求められるため、農業技術だけでなく、経営者としての資質も必要となります。
結論として、農業で安定した収益を上げることは決して容易ではありませんが、適切な戦略と努力次第で、収益性の向上は可能です。ただし、新規参入者にとっては、初期投資や経験不足などのハードルが高いため、慎重な計画と十分な準備が不可欠です。
兼業農家はどうなのか?

上記のような現状を踏まえ、兼業農家には独自の戦い方があるという提案を行ってきました。具体的には、新規就農者がなぜ儲からないかということを検討しなければなりません。その一番の理由としては、初期の投資額が高く、その割には栽培物の買取価格が安いため、構造的に収益率が悪い。また価格が市場に左右され、利幅が少ないのに、国際的な相場に影響されてしまっているということではないでしょうか。一方、親元就農の場合には、機械や施設をそのまま引き継げるため、収益率が高くなっています。つまり完全なる新規就農は、かなり分の悪い環境となってしまうのです。
そのような前提をもとに兼業農家を考えた場合、機械や施設がないということは、専業農家と同じなのですが、就農時点では、他に収益を求めているので、機械も施設も必要ないということがいえます。他に収益がある結果、収益化に時間がかかる果樹などの栽培物を狙うこともできます。また農村の高齢化による引退などは日常で、待てば自然と機械も施設も手に入れることができたりもします。このように最初に生活の糧を農業においていないことにより、時期を追って、必要なものを増やし、農業収益を拡充していくことができるのです。
どの形態での就農を目指すのかは、個々の人の判断とはなりますが、この中間点にあるのが、農業法人への就職ということとなるのかもしれません。どちらにせよ、世の中は自己責任ですので、何が自分にとって最も適しているかを考え、選択しないとならないのかもしれません。兼業農家として、リスクなく、収益を上げたい人はぜひチバニアン兼業農学校をご検討ください。
また、兼業農家の年収を考える上で重要なのは、本業の収入と農業収入のバランスです。本業での安定収入を確保しつつ、農業で追加の収入を得ることで、総合的な年収を向上させることができます。兼業農家の場合、農業収入だけでなく、本業との相乗効果も考慮に入れる必要があります。例えば、本業で得た知識やスキルを農業に活かしたり、逆に農業で培った経験を本業に活かしたりすることで、両方の収入を増やす可能性があります。このように、兼業農家は柔軟な戦略を立てることができ、それが年収向上につながる可能性があるのです。