オリーブ地植え授業


5期・松健(54歳)

10年後、反収120万円を目指して

2023年4月15日(土)に、「房総オリーヴ」の圃場で開かれた現地研修「オリーブ苗木植え付け作業」に参加した。あいにくの雨模様にもかかわらず、15名以上の受講生と、とある自治体の視察メンバーが数名、合計20名を越すオリーブ好きがカッパを着て圃場に集合した。

植え付けの指導をされるのは、千葉県はここ睦沢町と、長生村の4か所に約3ヘクタール・約1200本のオリーブ畑を持つ「房総オリーヴ」代表の金子健一さんと、今回、植え付ける苗を手配された「一般社団法人静岡県オリーブ普及協会」代表理事の近藤佳裕さん。近藤さんは静岡県の認定農業者で、2009年からは本場イタリアのフィレンツェでオリーブの生産農家として活躍しているオリーブのスペシャリスト。「房総オリーヴ」と同様、フィレンツェでも増え続けている耕作放棄地を開墾し、オリーブを栽培している。

オリーブの品種は世界で約4000品種あり、メジャーなものは200品種ほど。日本でも育つかなというオリーブが16品種ほどで、関東では10品種ほどだそう。そのなかのフラントイオという品種をはじめ、数種類のオリーブの3年生の苗木を植えることに。「フラントイオは世界中に植えられているメジャーな品種。病気に強く、雨が多い日本でも頑張って育ってくれます」と近藤さん。また、オリーブは果樹のなかでもとくに花粉が小さく、そよ風でも1キロメートルも飛んでいくので受粉しやすいそうだ。

近藤さんによれば、日本のオリーブオイルの自給率は0.058パーセント。「なので、国産オリーブはつくれば売れる作物のはず。参加された皆さん全員がオリーブ栽培を始めてもライバルにはなりません。需要は大いにありますから、皆さんに成功してほしいです」と笑顔で話す。そして、「オリーブは、10年後、1本あたり10キログラムの実、搾油率10パーセントで1リットルほどのオリーブオイルが採れる、国産だと3万円になり、1反40本植えられるので反収120万円上げられる、という収支計算が立てられます。でも、できの悪い苗を仕入れてしまうとその6割ほどしかならず、一気に反収72万円に落ちてしまうので、苗選びはマジで気をつけて」と注意を呼びかけた。(これは専業農家の如く、きちんと管理した場合の結果)

オリーブ栽培は愛情が大事

そんなオリーブの楽しい話や、ためになる情報を前置きに、いよいよ苗木の植え付け作業が始まった。近藤さんによる「なぜ、この作業が大切なのか?」を理論的に解説するていねいでわかりやすい指導に、農業初心者の僕も「なるほど!」と納得しながら手足を動かすことができた。その指導や苗木植え付けのノウハウを事細かに書くとアレ(※)なんで、ここから先は有料コンテンツということで、超早送りでポイントだけ示すことにする。

  1. 穴を掘る
  2. 根を広げて植える
  3. 踏む
  4. 支柱に苗を結わえる

「これでは何のことかわからない」「どこが理論的?」と不満に思われた方は、ぜひチバニアン兼業農学校に入校し、オリーブ研修を受けてみてください。オリーブスペシャリストの近藤さんの指導は、雨ニモマケズ、カッパを着て研修を受けた受講生の貴重な財産なので、詳しく公表できません。あしからず。

一つだけ、これは公表したいこと。ある参加者が、「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と呪文を唱えながら根に土をかぶせているのを僕が笑って見ていると、「それ、マジで大事」と隣で苗を植えていた近藤さんが真面目な顔でそう言った。「どれだけ人に見られるか、手をかけられるかで、オリーブの生長は違ってきますから。本当に」とのこと。オリーブ栽培は愛情が大事なのだ。さらに参加者が、「お金になーれ、お金になーれ」と唱えると、「それも大事」と近藤さん。「お金にならないと僕らが成長しませんからね」。そのとおり。反収120万円を目指して、皆さんもオリーブ栽培、始めませんか?

(※)アレ…無責任な苗木業者や農業コンサルタントが、「房総オリーヴ」の名前を勝手に使って指導するケースが発生しているので。