市街化調整区域に家を建てる?

市街化区域と市街化調整区域の違いは

市街化区域と市街化調整区域は、日本の都市計画法における都市計画区域内での土地利用のカテゴリーですが、その目的と許可される内容が大きく異なります。また国土の全てが、指定されている訳ではなく、指定されている区域のほとんどは、都市部となる点にご注意ください。

市街化区域

市街化区域は、都市化が進んでいる、または進むことが予定されているエリアを指します。この区域内では、住宅、商業施設、工業施設など様々な形態の土地利用が認められています。都市計画法に基づく、道路、公園などの公共施設の整備も積極的に行われます。市街化区域は、基本的に現在の市街地の拡大や新たな市街地の形成を目的として指定されます。

市街化調整区域

一方で、市街化調整区域は、無秩序な都市化を防ぎ、自然環境や農地を保護することを目的として設けられたエリアです。この区域内では、新たな建築や開発活動が原則として制限されます。具体的には、住宅の新築や大規模な商業施設、工場などの建設には、事前に許可が必要となります。市街化調整区域は、都市化の進行を適切に管理し、計画的な都市開発を促進するために設けられます。

主な違い

  • 目的:市街化区域は、都市化を推進し、様々な形態の土地利用を促進することを目的としています。一方、市街化調整区域は、無秩序な開発を防ぎ、自然や農地を保護することに重点を置いています。
  • 土地利用:市街化区域では、住宅、商業、工業など幅広い土地利用が許可されていますが、市街化調整区域では、新たな開発が厳しく制限され、特定の条件下でのみ許可されることがあります。
  • 開発許可:市街化調整区域では、新たな建築や開発を行う際には、地方公共団体からの事前許可が必要となるケースが多いです。これに対し、市街化区域内での開発は、比較的自由度が高いですが、都市計画に基づく規制やガイドラインに従う必要があります。

これらの違いにより、市街化区域と市街化調整区域は、それぞれのエリアに適した形での都市開発や土地利用を促進することを目指しています。

都市計画区域

都市計画区域は、都市計画が適用される地域を指します。この区域内では、土地の利用や開発に関して、都市計画法に基づく様々な規制が適用されます。都市計画区域には、市街化区域、市街化調整区域など、さらに細分化されたエリアが含まれます。都市計画区域は、主に人口が密集する地域や、将来的に都市化が進展すると予想される地域に設定され、計画的な都市開発を促進することが目的です。

非線引き区域

非線引き区域は、都市計画法における特定の規制が適用されない地域を指します。具体的には、都市計画区域内であっても、市街化区域や市街化調整区域といった特定の区分に属していないエリアがこれに該当します。非線引き区域では、土地利用に関する規制が比較的緩やかであるため、地域の実情に応じた柔軟な土地利用が可能です。しかし、将来的に都市計画による区分指定が行われる可能性があるため、開発や土地利用の際には将来の計画変更も考慮する必要があります。

準都市計画区域

準都市計画区域は、都市計画区域の外側に位置しながらも、都市計画法の一部が適用される地域を指します。この区域は、主に都市計画区域の周辺で、将来的に都市計画区域に編入される可能性がある地域や、特定の開発プロジェクトが計画されている地域に指定されます。準都市計画区域内では、大規模な開発に関する事前の協議が必要とされるなど、限定的ながらも都市計画法に基づく規制が適用され、無秩序な開発を防ぎつつ、計画的な都市開発を支援する役割を果たします。

市街化調整区域で家を建てるときの注意点

市街化調整区域内で家を建てることは、計画的な都市開発を促進するため、特定の基準と制限が設けられています。このエリアは、無秩序な開発を防ぎ、自然環境の保護を図ることを目的としています。そのため、基本的には難しいと考えた方がよいでしょう。

市街化調整区域での新築の基準と制限

市街化調整区域内での建築は、原則として制限されていますが、例外として、農業関連施設や公共施設など限られた建物の建築が許可されます。新築を考える際は、地域の都市計画に沿った内容であるかを確認し、必要に応じて許可を得る必要があります。つまり農家であれば、住宅を建てることができるということになります。詳細は、農家住宅とは?農地や市街化調整区域に家を建てる裏ワザを参照ください。

都市計画法と29条の関連性

都市計画法の29条は、市街化調整区域内での建築制限を定めています。この法律は、エリア内での新しい建築や大規模な土地開発を厳しく制限し、自然保護や環境維持に努めています。一方で農林漁業者のような一次産業に従事した人が居住することも前提とされています。

厳しい基準はあるが、いくつかの要件を満たせば建築可能

市街化調整区域内での建築は、一般的な地域よりも厳しい制約があります。特に、新しい住宅を建てる場合、その用途、規模、構造などに関して特定の基準を満たす必要があります。また、周辺環境への影響を最小限に抑える設計が求められます。

また市街化調整区域では、往々にして農業振興地域に属している場合が多く、その場合は別の法律により建設が難しいです。

市街化調整区域の土地を活用する方法

市街化調整区域では開発が厳しく制限されますが、条件によっては駐車場や小規模店舗の建設、農地転用が可能です。売却時には、制限と自然保護が価格に影響を及ぼすため、土地の特性を明確に伝えることが成功の鍵です。土地利用の可能性と制約を理解し、適切な準備をすることで、市街化調整区域の土地を有効活用する道が開けます。

トレーラーハウスなら可能

トレーラーハウスは移動可能な住宅で、市街化調整区域での新たな可能性を示しています。車両としての扱いにより建築確認申請が不要で、生活に必要なライフライン設備を備えた快適な空間を提供します。サイズの多様性と狭小地への設置可能性は、1人暮らしからファミリーまで幅広く対応します。市街化調整区域内でトレーラーハウスを設置するには自治体との相談が必須ですが、許可がおりる場合が多いです。

ちなみにチバニアン兼業農学校でも農地にこの形式で家を配置できないかということを検討しています。今後、耕作放棄地が増えていく中で、農地を適切に管理していくためには、このような手法で二拠点者を増やす必要があります。

農家になると活用法が増える

市街化調整区域では、開発に厳しい制限がありますが、農家になることで、これらの地域での活用法が広がります。具体的には、農家住宅、分家住宅、農家レストラン、道の駅、倉庫などの建設が可能になり、農地を購入する機会も増えます。これらの活動は、地域社会に貢献し、環境保全にもつながるため、市街化調整区域内での新たな可能性を開くことができます。地域の食料自給率向上や、訪れる人々に新たな魅力を提供することで、地域経済の活性化にも繋がります。農家として活動することで、自然と調和した持続可能な生活を実現するとともに、市街化調整区域の新たな価値を創出することができるのです。

当校では、単なる就農支援のみならず、様々な形で農に関わり、生活の質をあげ、人生を豊かにすることもお手伝いしています。

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