チバニアン式バーベキュー炉ワークショップ体験記!マツケン参場vol.0


5期・松健(54歳)

皆さん、はじめまして。この回から、ブログの一部を書く役割を校長から仰せつかりました、2023年5期生の松井です。「農作業も初心者の目線で、授業や研修で見たこと、聞いたこと、感じたことを体験記として書いてみては?」と校長に勧められ(乗せられ?)、その気になっちゃった次第です。

ちなみに、54歳です。30代からフリーランスのライターをしています。やがては「ChatGPT」に仕事を奪われるだろうとの危機感から、チバニアン兼業農学校で農業を学び、食うだけは困らない人生を送りたいと望んで入学しました。年金8万じゃどうにもなりませんからね(涙)

自己紹介はこれくらいにして、さっそく1つ目の体験を紹介します。

土台のブロックは家でいう基礎

2023年4月9日、千葉県睦沢町にあるチバニアン兼業農学校圃場で開かれた「バーベキュー炉制作ワークショップ」を体験した。正式な授業ではないが、オリエンテーションとして体験させてもらった。参加者は10名ほどだ。

前日の雨で圃場はところどころぬかるんでいたが、長靴さえあれば大丈夫。以前、取材した青森のマタギが、「いろんな靴をはいたけど、結局、長靴がいちばん」と言っていたのを思い出しながらぬかるみの中もガツガツ歩いた。

圃場の脇に敷かれたブルーシートの上に、炉をつくるための道具や材料が並べられていた。スコップ、クワ、ハンマー、ダンパー、電動工具、コテ数種、水平器、そして、ホームセンターで買ったブロック、耐火レンガ、ブロックセメント、耐火セメント、砂利、川砂など。「これでバーベキュー炉がつくれるのか」とワクワクしてきた。

炉の設置場所は、ユンボが通れるスペースを確保するために、圃場の端っこに。草刈機で草を刈り、傾斜がある地面の高い部分をスコップで掘り、低い方へ土を投げ、高低差をなくす。そこに砂利と川砂を敷き詰め、手でならし、上からダンパーで叩き固め、水平器で水平を測りながら、設置する地面が真っ平らになるように整えた。

そこに、コンクリートを投入する。ちなみに、セメントに水と砂を混ぜたものがモルタル、モルタルに砂利を混ぜたものがコンクリートだそう。用意された「ホームモルコン」は砂利入りのモルタルなので、コンクリートということになる。それを容器に入れ、水を加えていきながらクワを使って適度な硬さにこね、ブロックの幅より少し広めにコの字型に敷く。

その上に、炉の土台となるブロックを置いていく。1個置くたびに水平器で水平を測る。水平器の気泡が寄っている方が高くなっているので、ブロックのそっち側を木槌でトントンと叩いてブロックを沈め、水平にする。隣に置くブロックとの間に数ミリの隙間を空けるのは、後で上からコンクリートを流し込み、ブロック同士を接着させるため。ブロックをコの字型に並べ終わったら、全体の水平も測る。コの字の左右のブロックに板を渡し、その上に水平器を置けば測りやすい。コの字の左右と奥側のブロックの直角を測ることもお忘れなく。

炉の土台となるブロックは、家でいう基礎。「ま、いっか」ですまさず、水平や直角や真っ直ぐかどうかをていねいに測りながら並べるのが大事だそうだ。

臨機応変、工夫を加えながら、耐火レンガを積み上げる

ここで、昼ごはんとなった。参加者が持ち寄ったり、スーパーで買ってきたりした肉や野菜、そして、圃場の裏山に生えている細いタケノコも抜いて、網で焼いた。「タケノコ、うっま!」。昼食が盛り上がりすぎて、午後の作業の開始が遅れてしまうほどだ。

箸をクワに持ち替えて、再びコンクリートをこね、1段目のブロックの接地面にコテで塗り、2段目のブロックを置いていく。一度上に置いたら動かさないほうがいいそうなので、ずれないよう慎重に。1段目と同じように水平や直角を測りながら、コの字型に積んでいく。参加者のなかには建設業や土建業に携わる人もいるので、とても心強い。初心者の僕はアドバイスをもらい、ほかの参加者と交代しながら作業を体験した。

2段目のブロックを積み終えたら、耐火セメントを水でこね、ブロックの上に耐火レンガを組んでいった。「今日は風も強く、乾燥しているから少し水を多めにいれて」というアドバイスを受け、水の量を増やす。「レンガに水をかけてからセメントを塗ると乾燥しにくいですよ」「セメントを塗るときは、レンガの面にベッタリとのせてからコテで削ぎ落とせば均等な厚みに塗れますよ」との忠告も参考になった。

校長が書いた設計図をベースに、臨機応変、いろんな工夫を加えながら耐火レンガを積み、目地を埋め、組み上げていった。目地の隙間が埋めきれていないところを見つけると、「風が通って火がよく燃えるんじゃないか」と冗談を言って笑ったり、和気あいあいと制作は進んだ。

ただこの日、炉を完成させることはできず、次回に持ち越しとなった。僕のような未経験者が教わりながらつくったこともあり、時間がかかってしまったのだろう。ただ、完成すれば、圃場での授業や研修のときに生徒が持ち寄った食材を焼いて、みんなでワイワイと昼ごはんを食べることができそうだ。農家レストランやキャンプ場にバーベキュー炉を設置するときの参考事例にもなるし、ピザ窯や燻製器にも応用できそう。大いに楽しみだ!

ちなみに、道具をのぞいた材料費(耐火レンガ、大判耐火レンガ、ブロック、ブロックセメント、耐火セメント、砂利、川砂)は、約3万円なり。土台に耐火レンガではなくブロックを使ったことで費用を安くできたのもチバニアン式だ。

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