若い世代と兼業就農

最近、「ののの」という農業サービスを通じて、20~30代の人たちが就農ボランティアとして当校に積極的に参加してくれています。彼らは農業に興味を持っている一方で、専業農家としての道は険しいことも理解しているように思えます。多くの人の志望動機が、兼業就農という手法があったことを参加理由に書いてくれているからです。

兼業就農は、実は若い人にこそ、向いていると思っています。専業農家は、収益性が高くてもマネタイズに時間がかかる果樹などを栽培することは敬遠しますが、兼業農家は本業がある故に、その時間を耐えることが可能です。また収益が上がるようになってからは、その果実を楽しめるのは寿命が長い方がよいのは当然のことですね。

若い人の兼業就農のメリット

僕の子供たちもいまは余り聞く耳を持ちませんが、実は兼業就農は、その子供のキャリアをほとんど変えずに人生を豊かにします。農地に住宅を建てることができる農家住宅であったり、新規の農地取得もできますし、都会に通いながら通常は自然の中で豊かな人生を築くことができるのです。まさにいいとこどりだと思っています。更に副収入と自給分の費用減もありますので、長い人生がある年齢だからこそのメリットが大きい訳です。

元々、人間の生活の豊かさは、自然の中で暮らすことでもあるのですが、やはり若い頃は都会的な刺激も味わいたいということもあるでしょう。企業に勤め、日本的サラリーマン生活にも憧れることもあるでしょう。ただ、それを同時に実現できるのが兼業就農なのです。日本が衰退していく中で、営農して自分達家族の自給率を確保しているということも意義があることです。

当校では、高校生、大学生は多少のお手伝いをやってもらうことを前提に入学費を無料としています。その理由は、農業人口の減少や衰退を食い止めるには若い人の力が必要ということもありますが、我々自身も若い頃には多くの人に助けてもらって今があるということを感謝しているからです。

有事の際の農業

台湾有事などを心配されている方もいらっしゃるようですが、農業だけでそれを解決できるかどうかは正直わかりません。しかし少なくとも様々な心配を就農することで解決できるのであれば、それはやった方がよいのは当然です。僕自身も、現在、田んぼとしては4反ほどで稲作をやっていますが、収穫予想は、2トンです。一人当たりの米の年間消費量は、約50kgですので、約40倍の量を収穫することとなります。このことは、心理的な安心にもつながっているのは間違えありません。

水はどうなるか?

それぞれの方の事情にもよるのですが、僕の場合は、学校圃場に、井戸があり、浄水施設を利用することで十分な水を得ることは可能だと思っています。電気の問題もあるのですが、スタッフが電気工事士の免許を持っているので小規模の太陽光設備をおいて電気の自給も考えています。東京などでは、それらを自分自身で確保することは確かに難しいので、地方の拠点を持つ意味はあるのかもしれません。千葉の例ですが、10万~50万円で井戸を引くこともできますし、川から水をひいて浄水も可能です。

なんとなく子供たちのために栽培してみる

いま、華麗米という日本のカレー専用の米を栽培しています。去年から行っていたのですが、昨年は水不足で失敗したため、今年は田んぼの場所を変えて再チャレンジしています。この収穫した華麗米、コシヒカリの一部は、こども食堂にカレーの具材野菜ごと寄付する予定です。自分たちが作ったものをできれば、一番喜んでもらえるところに届けたいという思いもあり、商売としてやってはいるのですが、農業学校という特性上、小さな社会貢献をさせてもらうということもありがたいことです。その意味で、ハロウィンのかぼちゃも栽培をはじめています。こちらはおばけかぼちゃができたら、地元小学校に寄付できればと考えています。

なぜ君は農家になれないのか?
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