山口型放牧の視察に行ってきました
6月24日に朝山口に入り、山口県農業事務所のご協力を得て、山口型放牧と言われる「耕作放棄地に牛を放ち、草刈をさせる」を視察してきました。実際に目の前で放牧の様子を見ると、糞がほとんど匂わず、また脱柵も限定的で、問題は少ないようです。また地域の人も牛を可愛がってるらしく、牛が好きな草を差し入れしていたのは印象的でした。
もともと、牛を耕作放棄地に放ち、肥育することは作業が少ないため、兼業農家の事業向きだと考えてきました。ただ問題は、はじめに牛に電柵を馴致させることと、肥育した後の出口を考える必要がある点です。一般的な放牧は、日本式肥育(霜降りにする)に向いていないため、健康な仔牛を生ませることだけが目的となっています。しかしその場合には、収益性が低いため、数を求められることとなり、若干兼業農家向けではなくなります。それをどうやって解決するかという問題になります。
僕としては、サシが入らないため、日本市場に向いていないということから、別用途の利用方法が考えられるのではないかと仮説を立てています。例えば、農家レストランを農場で経営できますが、その際にシュラスコで提供するような手法です。シュラスコは、元々ブラジルのバーベキューであり、利用する牛は、むしろ赤身が多いグラスフェッド牛が前提です。手順として、耕作放棄地で牛を肥育、青空の農場でシュラスコを提供し、6次産業化すれば、耕作放棄地肥育の意味があります。また赤身過ぎるという問題は、最後の三カ月程度、穀物を食べさせることでかなり改善できるのではないかと思っています。
また収益性だけではなく、地域の祭り的要素として地産地消の牛を年に一回ほど食べるということも意味があるかと思います。本来、仔牛から成牛まで育てた場合、3年ほどかかるらしいので、廃牛などを取得し、放牧した場合は、1年程度の肥育で健康的に育てることができるでしょう。廃用牛の相場は、怖ろしく安く、15万円~だそうです。そのため、耕作放棄地を解消して食肉にできれば、十分に買う価値はあるかと思いますし、場合によっては、収益化することも可能です。
今回は、福岡在住のオンライン生徒であるクワチョを帯同し、いろいろと見てきましたが、国内餌を利用して肥育させる点でも意味があり、彼が元々北海道のJAで酪農班におり、奥さんも酪農大学をでた方ということで、今後、兼業農家で肥育可能なこの山口型放牧ができないかと検討していきたいと考えています。