生徒インタビュー・5期生・相澤まなみさん・千葉県君津市在住

オリーブや果樹を田んぼで栽培

2021年に夫と子ども2人で千葉県君津市に引っ越した、5期生の相澤まなみさん。「君津の中でも、目の前に田んぼや畑が広がる農村です。のんびりと暮らしていますが、耕作放棄地も増えているので寂しい気持ちになることもあります。このまま放置していたらもう農地に戻らないかもしれない。条件の悪い田んぼでも農地として残しておけたら、後世の人が知恵を出してまた田んぼとして復活してくれるかもしれない。その中継ぎになれたらという思いで、農業に挑戦することにしました」と農業を始めたきっかけをそう話す。

耕作放棄地で栽培できる作物はないかと考えた相澤さんは、ポットを使った果樹栽培を思いついた。そこで、「ルートプラスポット」で検索していたところ、チバニアン兼業農学校がひっかかった。ウェブサイトを読んでいると、ルートプラスポットを使ったオリーブ栽培を推していたので、「おもしろそう。学んでみようかな」という気持ちになり、入学したそうだ。入学前から農業には関心があったので、栽培技術、近隣の農家との付き合い方、農業に関する自治体への申請、兼業農家の節税などさまざまな知識は断片的に知ってはいたが、「それが、チバニアン兼業農学校で学んで、全部つながった気がします。点が線になったというか。特に農地法や申請に関する知識はしっかりと自分のものになりました」と、学校で学んだことを話す。

卒業後、さっそく君津の住まいの近くで田んぼを2反借り、農家台帳に名前が記載され、農家となった。「農地の1反で、ルートプラスポットを使ったオリーブ栽培を始めます。収穫した実は搾ってオイルにしたり、酢漬けにしたり。葉もお茶にしたり、粉末にして何かに練り込んだり。使い途が多様なのがオリーブの魅力ですね」と相澤さん。すでに250本ほどの苗を仕入れたそうだ。「もう1反で、ミカンや枇杷、柿などの果樹を、基本ポット栽培で育てようと考えています。オリーブの実は採ったその場では食べられませんが、果樹はその場で食べられるのが楽しいから。この間、亜熱帯でなくても育つというバナナの苗が売っていたので、おもしろそうなので3本買いました。育つかな?」と笑顔で話す相澤さん。さらに7畝の畑も借り、サツマイモ、モロヘイヤ、オクラ、ソバ、アスパラガスなどすでに20~30種類の野菜を育てている。「おすすめは、ツルクビカボチャ。ツルの首のように細長いカボチャで、ねっとりした食感で甘いのが特徴。おいしいですよ!」と、この日のイベントの来場者に自家採取したタネを配っていた。

農業を始めて変わったことを尋ねると、「野菜をほぼ買わなくなりました。自給したり、ご近所の農家さんからいただいたり。季節の野菜をたくさんいただくので、私はなるべくご近所さんがつくっていない野菜をつくるようにしています」とのこと。畑から採れたてを食べられるので、「野菜も米もおいしい! 食事がより楽しくなりました」と目を輝かせる相澤さん。子育ての基本である食べ物に関して、おいしくて安全なものを与えられていることにも喜びを感じているようだ。畑仕事をする相澤さんのそばで子どもたちは土に触れ、作物が育つ様子を目にしている。食育が学校の授業ではなく、日々の暮らしの中で自然にできるのも農家になったからこそ。「ただ、飽きると畑に落とし穴を掘って遊んでいますよ。イノシシが落ちたら獣害防止になっていいんですが、私が罠にかかっています」と楽しそうに話す。

最後に、これからチバニアン兼業農学校に入ろうと考えている人にアドバイスを送ってくれた。「ズームの授業でも、森田農園や日本農業実践学園での実習でも、『そんなことも知らないの』と思われてもいいから、恥ずかしがらずにどんどん質問してほしいですね。そのために授業料を払っているのだし、失敗はしてもいいうちにしておいた方がいいですから」と相澤さん。その言葉通り、相澤さん本人も、ズームでも農場でも常に「ハイハイ!」と手を上げて質問していた姿が印象に残っている。作物の栽培方法やコツは、農家の数だけあるほど多様だ。相澤さんのようにどんどん質問して、いろんな方法を聞き出し、実際に試して、自分に合うやり方を見つけよう。

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