兼業就農は長距離走ーだから早く就農するべき。

もうかれこれ、3年以上、そしてその前の期間も含めると5年以上兼業就農を研究してきたのでした。結果、わかってくるのが、専業と兼業は職種が違い、兼業就農は時間が命ということです。時間を味方につけることで、副業的収益を上げることや様々な経験を積むことができ、農業を通じて人生を豊かにすることができるのです。

専業農家は短距離走者、兼業農家は長距離走者

この両者には大きな違いがあります。まず専業農家は、基本的にその年に収益を上げる必要があります。上げなければ、生計が成り立たないからです。しかし一方で兼業農家は、必ずしもその年に収益が上がらなくても本業があるので生計が成り立たないということはよほどのことがない限り、ありません。つまり兼業農家は、多少時間がかかったとしても将来的に大きな収益が継続的にあがる作物、果樹を選択できるということとなるのです。

例えば、オリーブのように省力で栽培ができるのだけれど、5~10年ほど収益化まで時間がかかるような作物です。もちろん、専業農家でもやれないことはないでしょうが、5年間無収入で生計を成り立たせるのは厳しいと思います。一方で、本業で自走しながら更にそれに収益が追加されていく形式の兼業農家には、まさに理想的な作物となります。つまり専業農家は短距離走者、兼業農家は長距離奏者と見なすことができるかもしれません。

農業人口の減少及び高齢化を味方につける

日本の農業経営体は、今の100万代から2030年には50万人を下回るといわれていますが、実はこれからの就農する者にとっては大きなチャンスとなります。毎年高齢者の引退により大量の人が農業から退場をしていくのが予測されています。現場にいるとこの大きな波を日々ひしひしと感じさせられます。その一番の問題は、農地、農機具それを引き継ぐ者が誰もいないという状況です。更には空家も増え続けてくばかりです。

結果的に赤の他人である兼業就農者や二拠点生活者であっても田畑や農機具、家屋を引き継いで欲しいという要望があるのです。せっかく今まで続けてきたことを次世代に引き継いで欲しいというのは当然の欲求で、そもそもは子孫が望ましいのでしょうが、ほとんどの農家の子弟は引継ぎを敬遠しているのが実情です。特に首都圏農家のように他にたくさんの仕事がある場合に、その傾向は強いです。

引継ぎに選択肢がない以上、土日しか来ない兼業就農者でもお願いできないかという話となります。本来ならば、地元で積極的に農業を行う法人などが担えればよいのでしょうが、中山間地の小さな田畑を引き継ぐには収益性に欠けるため、ほとんどの場合は断られてしまいます。

20代から兼業就農をはじめてもキャリアは変わらない

最近、つくば大学の大学院の方がインターンとなり、予定の就職を変えず、就農を目指しています。これこそ、僕が前から主張している「若い人ほど、兼業就農をすれば、キャリアを全く変えないまま、プラスだけを得ることができる」ことです。

もともと、当校の主張する兼業就農は、本業との共生を前提としています。当たり前のことですが、本業で生計を営んでいる以上、それを阻害するような農業はやるべきではないのです。また前述したように、長距離走者として時間を最大活用することで、省力にも関わらず収益性が高い農業をすることができます。単純に考えても、毎年一定の収益が得られる状況で、20代の方が50代よりもその受益回数が多いということになるからです。

実は、定年までに農地、機械、経験が全て手に入る

当校は50代からの就農を中心に薦めていますが、これは一番希望者が多いということが理由であり、極端な高齢でなければ、何歳からはじめてもその年代の戦略があると思っています。しかし理想的な年齢をいうならば、20代で少しでも早く始めた方が様々な経験を積めるためによいといえるでしょう?特に長距離走とするならば、その人生の残り時間の長さ自体が有利となります。

ただ現実的には、50代近辺の人が希望者として多いため、その立場から解説します。この年代に兼業就農をはじめれば、必ず60歳の定年までには追加の農地、農業機械、農業経験を得た上に地縁も得ることができます。つまり専業農家としての知見があり、機械もあり、十分な農地もある状況で人生の再スタートができるのです。しかも無借金であり、年金も受給しながらの就農は勝利しか見えてきません。これも体力が衰えはじめる60歳からが1年目のスタートではなく、すでに10年目の経験者となるからです。

そのため、少しでも早い就農をお勧めします。専業農家のような短距離走ではないため、長距離のジョグからゆっくりと体を慣らし始めればよいのです。人生100年時代において、50歳でも折り返し地点、ここから兼業就農という長距離走に入っても必ず満足のいくゴールを迎えることができると確信しています。

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