時間がない人のための兼業就農考察

最近のチバニアン兼業農学校は、23歳の大学院生をはじめとして70代の方のご入学を頂き、年齢も職種もバラバラ、多士済々となってきました。もともと、農業は日々の生活と密接に絡んできたことから考えるとおかしなことでないのですが、現代社会では農業をすること自体が少し風変わりなこととして捉えられてしまいます。

現代社会は、チャップリンのモダンタイムズではないですが、時間に追われる社会です。誰もが時計を気にして生きているといっても過言ではないでしょう。もしかしたらそのことに対する反発なのかもしれないですが、軽めの就農は季節に生き、大地と対話できる、そんな生き方で人生の最後の方を過ごしたいという人も多いのです。

しかしサラリーマンは時間がない…

一方で、一度サラリーマンとして現代社会に取り込まれてしまうと時間の渦に取り込まれてしまうのも現実です。その現実を捨てるべきというのは簡単ですが、両立させるということが現実的解決なのではないでしょうか?人生は、0か、100かでは決して割り切れないものです。

では、具体的に日々生活のための仕事に追われ、しかも空間的制約にあるサラリーマンがどうすれば就農できるかという問題にふれます。都内23区に住み、働きながら同時に就農するならば、やはり近場である首都圏の農地しか対象とならないでしょう。農地がある順番として、茨城、千葉、埼玉、神奈川という順になるのではないかと思います。千葉の学校ではありますが、取手市などの南の方であれば、首都圏在住者でも通うことが可能です。

ただ都内在住者が、千葉県を選ぶ一番の理由は、やはり南にあるということではないかと思います。人間は、どうも本能的に南の温かい気候をイメージし、そちらを選択することが多いようです。沖縄や済州島の交流をイメージすると理解しやすいかもしれません。首都圏で一番南にあるのが千葉県ですからおのずと人が集まるのも当然です。

さて時間がないことの続きですが、就農はじめにはやる気も漲るもので壮大な計画を立てがりですが、長期間継続するためには不断の努力も必要ですし、現実的に使えるのは週末祝日のみ、しかもその全てではないという前提で栽培スケジュールを考えなければなりません。小学生の夏休みの計画を立ててはだめです。そのため、現実的な時間を考慮に入れると可能な作物は自然に決まってくるでしょう。

何を栽培すればよいのか?

選ぶ前の大前提として、収益を上げたいのか?ライフスタイルで自然と触れ合い、自給自足をしたいのか?という選択を選ぶ必要があります。もちろん、両者の中間というのでもよいでしょう。将来的に多品目栽培を目指すので、いまは修行というのもあるかもしれません。

収益重視の人であれば、オリーブ、ナッツ系の粗放栽培で作業を省力化させる、稲作など栽培には時間がかからないのだけど、収穫物を6次産業化させる。収益化まで時間がかかるのだけれど、その時間がかかりすぎるため、 専業農家にはできない果樹など。単に農業といってもかなりの品目があり、それぞれ様々に条件が違います。ただ老後、定年後の備えとして作物を選定すれば、限られた時間でもできるものが必ず見つかります。

ライフスタイル、自給自足を狙う人は、まず稲作をはじめましょう。稲作は兼業農家がやりやすい栽培物です。そもそもほとんどの兼業農家(この場合は相続)は稲作をやっています。年間23時間程度で1反(1000㎡)から600kgが収穫できますので、普通の家族はそれだけで自給率を100%にできます。またできる範囲で好きな野菜を作り、訓練したり、定期的に農家で援農を行うことで栽培の訓練も可能です。就農初期は、人の手伝いをするだけでも将来の訓練となるでしょう。

農家資格は必要か?仲間を作る。

上記の内容であれば、場合によっては家庭菜園でもできるのではという意見もあるかと思います。確かにその側面もありますが、農家資格を取得すれば家庭菜園より広く安く農地を借りることもできます。本格就農時には、ある程度の面積も必要ですので、最終的には農家資格を取得しておいた方が様々なメリットもありますので、よいでしょう。

チバニアン兼業農学校は、農家資格を取得することにも重きを置いていますが、実際に家庭菜園では満足できない人が入学をしてきています。また家庭菜園には、稲作がないというのも自給を妨げますし、貸し出された田んぼなどはとても高いと思います。つまり農家になれば、卸価格で借りることができるということになります。

また仲間の存在も重要です。なかなか、兼業農家仲間というのは、どこでも作れるものではありません。仲間がいることにより、田んぼの水管理や草刈りの委託、機械の共有などができますので、その点は本格的に就農する際には重要なこととなります。

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