辺境から届いたルバーブ(寄稿文)

強い酸味と鮮やかな赤色をもつ個性的な西洋野菜ルバーブは日本ではふしぎと知名度の低い野菜です。タデ科植物で、原産地はシベリアといわれている辺境の地。日本には約100年前に野尻湖畔などで避暑にくる外人向けに栽培が始まり、現在は軽井沢などで高原みやげのジャムとして売られています。
肉食の多い北欧や北米では、消化を助け、便秘に効くこの野菜を好んで食べる習慣があります。事実、ビタミンCや食物繊維のペクチンを多く含んでいることが、分析から明らかになっています。また、リンゴ酸やクエン酸が多く、リンゴの香りを持っています。
大黄といえば、漢方の胃腸薬(便秘薬)としてご存じでしょう。ルバーブはこの大黄と同属の植物です。欧州人はこの植物の整腸作用に気づいていたわけです。ただし、漢方では根を使いますが、ルバーブは葉柄(葉の茎)を食用にします。ハート型の大きな葉身はシュウ酸が多く食用になりません。
ルバーブは多年草で、早春にフキのように芽を出し、その後巨大な葉を伸ばし、草丈は1mにもなります。初夏に黄白色の穂状の花をつけ、タネをたくさん実らせます。平坦地では5~6月に収穫期となりますが、高原や寒冷地では6~8月が最盛期です。春~初夏が旬で、真夏や秋のものはやや固く、筋っぽくなってしまいます。冬には葉が枯れて、根株は冬眠します。
欧米ではForcingという冬に真っ赤な収穫物を栽培する方法で、特別なデザートに使っていましたが、現在は栽培に手間がかかることやイチゴなど冬にもフルーフを楽しめる果物が出回り、栽培は減少しています。日本語では軟化栽培と呼ばれ、軟化ウドと同じ要領で、冬に根株を掘り上げて、暗所に植え込んで加温すると、1~4月に収穫できます。露地物は北海道や長野県で入手できますが、軟化物はまだわが国では普及していません。軟化物はジャムなどに加工しても素晴らしい色彩に仕上がり、高級食材になるでしょう。
露地栽培は排水の良い畑を選べば割と簡単ですので、家庭菜園にも適した野菜でなので、2~3株あれば家庭で十分楽しめます。
千葉県は温暖地であり、ルバーブの経年栽培に適しませんが、温暖なカルフォルニア、フロリダ州では1~2年生として夏越ししない「採りつくし栽培」が行われているようです。私も温暖地にすみ、この「採りつくし栽培」をしています。毎年秋にタネまきし、翌年5~6月に収穫しています。この方法は「ルバーブ栽培大全」に紹介してあります。
食べ方は、サラダにする場合は、フキのように皮をはぎ、薄くスライスします。ジャムの作り方は極めて簡単な男の料理です。ルバーブをそのまま薄く輪切りにし、厚めの鍋に入れて数分加熱すると水分がでてきます。そこへ、ルバーブの半分~同量の砂糖を好みに合わせて加え、10分もすれば完全に煮崩れします。保存用のジャムはさらに煮つめて固めます。その他、パイ、コンポート、セリーやジュースにも使えます。
2022年に私の研究内容や外国文献を整理した自家本「ルバーブ栽培大全」を出版しました。また、2023年発行「新野菜つくりの実際第2版 葉菜Ⅱ」(農文協)には、栽培方法をコンパクトにまとめてありますので、ご参照ください。(成松)





