半農半Xと兼業農家の違い

このワードは、いざ考えてみるといろいろと違いがあることに気づくね。ただ定義があるでしょうから、まずそれをひっぱりだしてみます。

「半農半X」…持続可能な農ある小さな暮らしをしつつ、天の才(個性や能力、特技など)を社会のために生かし、天職(X)を行う生き方、暮らし方

「兼業農家」…農業のみを営む専業農家に対して、自営農業以外に世帯員のうちだれかが他の業をあわせ営む農家をいう。

ということらしいです。この差を考えた時に、前者はライフスタイルを指し、後者は法律上の用語を指すことがわかる。ただ被るのかなと思ったところ、考えてみると、前者は農が先に来て、Xの部分に普通のサラリーマンなどを示していないことも大きな違いでしょうね。

なので、僕がいつも提案している兼業就農というには、基本的には半農半Xも含まれるのかもしれないけれど、どちらかというと「本業農+」と言った方が適切に感じます。

この本業があるところに兼業農家の強さがあるのだと思います。

「半農半X」の由来

1965年京都府綾部市出身の塩見直紀氏(フェリシモ社出身)が90年代後半から提唱したライフスタイルの一種。昨今のコロナ禍において「半農半X」は改めて注目を集めている。昨今では、海外でも注目を集め、精神性の豊かさを求める人たちに新たな生き方を提示している。

「半農半X」を推進する農水省

元々「兼業農家」という言葉においては、兼業農家雑草論という兼業農家が雑草のようにはびこり、専業農家を脅かすという論説があり、その立場を農水省がとってきた経緯があるため、改めて兼業農家を推進するという考えが農水省にはないようだ。そのため、半農半Xという言葉を多用する傾向にあるのだが、結果的に本来的な意味と離れているように思える。

つまり塩見氏が提唱する半農半Xには、移住を前提とした様々な副業で豊かなライフスタイルを送るという精神性を重視した側面が強いが、兼業農家には本業に農業を付加し、収益を確保するような現実的側面が強い。明らかな差異があるのだが、過去の経緯で「兼業農家」という言葉を農水省は使わない傾向にあるようだ。

チバニアン兼業農学校と半農半X

当校としては、ライフスタイルの側面からは半農半Xという言葉を使うこともあるが、この半農半Xという言葉からは、首都圏サラリーマンが仕事をやめずに千葉で兼業農家をやることを表すには、難を感じている。本業と農業が半々であるとはとても思えないし、それならば収益が上がりづらい。なので、半農半Xのイメージとしては地方に移住し、一つの仕事の収益では食べていけないので農業にも従事する、もしくはせっかく田舎に来たのだから心を豊かにする目的であるのではないかと思う。そのため、どちらかというと「兼業農家」という言葉を利用し、半農半X的に我々の立ち位置を表すには、「本業」に「農」を追加する「本業農+」という言い方が最適だと考えている。