ブーム終焉後のキャンプ事業を考える🏕️
アフターコロナでの農地キャンプ事業
最近、スノーピークの収益が激減したことが報道され、コロナ禍でのキャンプブームが終焉したと喧伝されています。事業再構築補助金を利用したグランピング施設の増大、とにかく一時的ブームを追いかけたキャンプ開業ブームは終了したと言っても過言ではないでしょう。
チバニアン兼業農学校でも農地でキャンプできることは紹介してきましたが、市場が冷え込んだことでどうしたらよいのかということも問われることとなるでしょう。今回は、冷え込んだキャンプ市場で、兼業農家としてどうキャンプ事業をはじめるかということを検討してみたいと思います。
キャンプ場の種類
テントサイトとは、利用者が持参したテントでキャンプを行うシンプルな土地貸となります。この場合の大きな特徴は、保健所の許可や建築申請が不要なため、非常にシンプルで営業をはじめやすいという特徴があります。
またこの場合の面積としてテント1張あたり9㎡程度のようですから駐車場などを加味して1000㎡で10張利用できるということとなります。ここにトイレ、水場が必要となるため、この整備に費用がかかることとなるでしょう。
その他、オートサイト、トレーラーハウス、コテージ・バンガロー、グランピングのように施設を必要とするものがありますが、これらは小規模兼業スタートを前提としている立場からは、おススメできませんし、兼業農家の範疇ではなく、事業ということとなるかと思います。
テントサイト自体は、単なる場所貸に近いので、高単価にしづらいという側面があります。しかし一方で、このテントサイトを高付加及び独自性の高いものにすることを考えるのが成功の秘訣です。
農地キャンプの市場は貸し切り市場を狙う
農地をキャンプ場にするには、二通りの方法があります。一つは、農地転用をして山林や雑種地としてキャンプ場を整備する方法、もう一つは、農地のまま一時転用を行い、キャンプ場にする方法です。前者は、農業者の資格は不要です。後者は原則、農業者、もしくは農業者と組んだ人が運営する必要があります。
元々、兼業農家の立場で農地でのキャンプ場を運営する前提は、小規模、少人数、貸し切りだと思います。このことにより、初期投資を低減させ、兼業でもキャンプ場を運営することができることとなります。また小規模貸し切り市場を狙うことにより、ブームの鎮静後でもニッチな立ち位置を占めることが可能となります。
安い価格で買える農地をどうすればキャンプ地にできるか?
農地が安い理由
農地が基本的に安いのは、農地自体が通常の人に販売できないことが一番の理由です。農地は、農地法により売買、賃貸に関わらず、農業者しかその対象にできません。たまに農業者資格を持たないまま、農地を買ったという場合は、農地転用ができた場合のことを指します。一般に流通しない農地と比べ、一般人も購入できる山林、雑種地は当然高くなります。
農業振興地域内の農地は転用が厳しい
さらに農地には、農業振興地域に指定されているものがあります。主に優良な農地が指定されるのですが、この農地を転用してキャンプ場にすることは農業者でも厳しいです。そのため、基本的には農業振興地域ではない場所を選ぶ必要があります。
めぼしい農地の探し方
社会的な問題となっている耕作放棄地ですが、実はこの場所が農地キャンプなどを行いやすい場所が多いのです。なぜならば、山間や海沿いの狭量地は、集積的農業ができない場合が多く、放棄地となりやすい傾向にあります。また農地転用もかけやすいということもあります。ただ、農業者ならばともかく一般の人は、農地であった時点で候補から外しますので、耕作には不利でもキャンプ場としては有利な土地といえるでしょう。
山林内の農地が最適か?
インフラ系の問題はありますが、山林内にある農地はキャンプ場には最適かと思います。なぜならば、まず農地転用が可能ですし、農地は原則平地ですので造成が楽です。さらに周りの山林を借景することもできます。結果的に山の中の幽玄な雰囲気を独り占めできる場所を作ることができるでしょう。ただし、山林内農地は、所有者もわからないくらい前に放棄された場合もありますので、木々が生い茂っている場合もあります。
オリジナルキャンプ場をどう作るか?
収穫後の裏作で行う
収穫をした後の農地を一時転用を申請し、キャンプ場に活用することは可能です。例えば、キャンプシーズンを春から秋の終わりとすると、冬の間には、麦や牧草などを育てることで、農地をきちんと耕作の場として利用した後ならば、キャンプ場にした例もあります。また果樹の間で行うキャンプも許可はとれるでしょう。ただし、ここで注意したいのは、兼業農家ですので、その場所を貸し切りにするということを前提とします。
収穫した野菜を提供する
農業者がキャンプ場を運営する場合、一般の人との大きな違いは、収穫物を提供できるという点です。例えば、キャンプで人気のピザの具である野菜を提供し、用意したピザ窯で焼いてもらうような試みは、他ではない特徴となるでしょう。簡易なパレットで野ざらしの椅子なども用意できるでしょう。
地植え果樹の間でドッグランを作る
例えば、オリーブを地植えした場合に、間隔は6mとされていますが、さらに間隔を空けることも可能です。そうなると周りをフェンスで囲うとドッグランを併設することも可能です。この場合には、農業委員会の許可は必要ですが、決して不可能ではありません。
草刈動物を飼育する
草刈動物としては、ヤギ、羊、牛、豚、アイガモ、ガチョウ、エミューなどが考えられます。このような動物を場内で飼うと草刈とアニマルセラピーの一挙両得となるでしょう。さらに、独自性を持つことが可能です。そしてこれらの動物は、思ったより値段が安いということも知っていてください。ただし、難点は世話のため、近隣に居住しなければならない可能性はあるでしょう。
どんなトイレにするか?
テントサイトには、実はトイレの設置は義務ではありません。しかしながら一般常識としてトイレがないキャンプ場は敬遠されてしまいます。その場合におすすめなのは、アグリレットという農業用のトイレです。このトイレは、観光農園などで取り入れられ、簡易推薦ですが、下水道、浄化槽なしで設置が可能です。約50万円ほどしますが、それでも本格的なトイレより格安です。ちなみにこのトイレは、農地にしか置くことができないそうなので注意が必要ですね。
農地キャンプまとめ
どの程度安くできるかを考える
山林の農地をキャンプ場として活用した場合に、1000㎡では、5万~30万円程度だと考えられます。なぜならば、ほぼ忘れ去られた農地ですし、それ以上に高い価格を言われた場合には、単純に違う場所を探した方が早いです。ただし、農地転用を前提としていた場合には、土地の利用方法がより収益を上げられることとなるため、この価格より数倍の価格になるかと考えられます。整地をする費用もかかりますが、山林のように木々の伐採はなく、草刈が中心となるため、自分での施工も可能です。
農地キャンプの優位性
まず格安で農地を取得できる点が、この事業の魅力です。また守って欲しいこととしては、余り無理をせず、例えば一日一グループでの貸し切り程度ではじめることをおススメします。そして農業者として、付加価値のあるサービスを提供することを目指します。例えば、場内に原木椎茸があり、その椎茸をバーベキューで焼く、ポップコーン機械を置いて、農地でとれたポップコーンを作る、このような試みが施設の価値を高めます。
農業者になると様々なメリットがある
法的な農業者の資格を取得すると様々なメリットがあります。農地キャンプは、その一部の特典です。ぜひこの機会に、農業に興味を持って頂き、里山での新たなライフスタイルを目指すのもよいでしょう。チバニアン兼業農学校は、首都圏のサラリーマンの人の就農のお手伝いを行っています。
注意事項
農地転用に関する考え方に関しては、一般論を書いていますが、それぞれの市町村による農業委員会にて判断基準は大きく変わります。その点はご留意の上、農業委員会と確認をとりながら事業を開始ください。