兼業農家のリアル 在校生5名が語る就農の始め方

愛知県から週末だけ畑に通い、オリーブを育てている会社員がいます。横浜の会社に勤めながら、千葉でパパイヤを栽培している人もいます。これまで280名以上が、会社を辞めずに農業を始めてきました。

定年後の暮らしが、少し気になり始めていませんか。収入のこと、健康のこと、毎日の居場所のこと。気がかりは増えるのに、今の仕事を手放すのはこわい。そんな方に、ひとつの答えがあります。それが兼業農家という生き方です。

先日、当校で生徒座談会を開きました。すでに自分の農地で動き出した在校生5名が、就農のリアルを語ってくれた会です。この記事では、その生の声をもとに、兼業農家の始め方をやさしくお伝えします。読み終えるころには、自分にもできそうだと思えるはずです。

目次

座談会動画

兼業農家とは 専業農家とどう違うのか

兼業農家とは、本業を続けながら農業も営む人のことです。会社員を辞めずに、週末や空いた時間で畑に立つ。そんなスタイルが、いま静かに増えています。

兼業農家の意味と働き方

兼業農家の働き方に、決まった型はありません。平日は会社、週末は畑という二拠点の暮らしを、自分のペースで組み立てます。栽培するものも自由で、オリーブやブルーベリー、お米、薬草など、手間のかからない作物を選べば、限られた時間でも続けられます。

専業農家との一番の違いはリスク

専業農家と兼業農家の違いは、収入の柱の数にあります。専業は農業の収入だけで生活を立てますが、兼業は本業という安定した柱を残したまま農業を足していきます。だから、生活を揺るがすほどのリスクを負わずに始められます。

 ポイント 

いきなり専業を目指すと、収入が途切れる恐怖が常につきまといます。兼業なら、その不安を抱えずに一歩を踏み出せます。

なぜ今、50代会社員に選ばれているのか

50代になると、定年後の景色が少しずつ見えてきます。年金だけで足りるのか、体は動くのか、退職後はどこへ行けばいいのか。農業は、その不安にまとめて応えてくれます。野菜は自分で作れて、体も自然に動かせて、畑には行く場所と役割がある。だからこそ、会社員のうちに学び始める人が増えています。

本業を辞めないからこそ強い 兼業就農の3つのメリット

座談会でいちばん心に残ったのは、ある先輩のこの一言でした。「本業を辞めてないから、強気で新しいことに挑戦できる」。ここに、兼業農家ならではの強さが詰まっています。

生活の不安がないと、思い切った挑戦ができる

収入の柱が一本残っていると、気持ちに余裕が生まれます。失敗してもいい、今年だめでも来年がある。その余裕が、新しい作物への挑戦を後押しします。不安が先に立たないからこそ、前へ進めるのです。

稼ぐだけでなく、支出を減らすという発想

5期生の相澤さんの話が印象的でした。ご近所さんと、野菜やお米を物々交換しているそうです。売って稼ぐだけが農業ではありません。自分で作り、分け合うことで、食費そのものが減っていく。支出を減らす農業という、新しい考え方です。

小さく始めて、自分のペースで育てられる

兼業農家は、大きく構える要りません。最初は小さな畑から始め、慣れてきたら少しずつ広げていく。このゆるやかな育て方が、長く続けるコツになります。肩に力を入れず、楽しみながら歩めるのが魅力です。

在校生5名のリアル それぞれの自分流スタイル

座談会には、4期生から8期生まで5名が集まりました。そのやり方は本当にバラバラですが、みんな楽しそうに語っていたのが共通点でした。

アートと農業を掛け合わせる人、観光農園を目指す人

4期生の高木さんは、福祉施設と組んでひまわり油を作っています。アートと農業を掛け合わせた、自分だけのブランドづくりです。同じ4期生の浜さんは、知識ゼロからお米作りをスタートし、今はブルーベリーの観光農園オープンに向けて準備を進めています。ゼロからでもここまで来られると、希望を感じる話でした。

 ポイント 

住む場所も本業も育てる作物もみんな違う。それでも続けられているのは、兼業という形に無理がないからです。

兼業農家のリアルな時間とお金

続けられるかどうかは、結局のところ時間とお金で決まります。ここはごまかさず、目安をお伝えします。

かける時間は、週末が中心

当校の授業も、原則として土日が基本です。栽培そのものも、省力的なやり方を選べば時間を大きく抑えられます。たとえばお米なら、年間およそ30時間ほどの作業で、一反からおよそ500キロを収穫する例もあります。平日は会社、週末は畑という生活でも、十分に回せる範囲です。

初期費用は、抑える工夫がたくさんある

農業は、お金がかかるイメージが強いと思います。でも兼業就農では、初期費用を抑える方法がいくつもあります。農地は耕作放棄地を活用するので、安く借りられることが多いです。トラクターなどの機械はリースや共同購入でそろえ、資材も仲間とまとめ買いします。住む場所も、倉庫付きで年7万円ほど、2LDKで月2万円台といった里山の格安物件が見つかることもあります。すべてを自分で買いそろえる必要はないのです。

続けるカギは地域と仲間にある

5名のほぼ全員が、口をそろえて語ったことがあります。それが、人とのつながりの大切さでした。一人で抱え込まないことが、長く続ける土台になります。

あいさつから始まる信頼関係

特別なことは要りません。始まりは、いつもあいさつから。顔を合わせ、言葉を交わし、少しずつ顔なじみになっていく積み重ねが、信頼へと育ちます。地域に溶け込むことが、農業を続ける支えになります。

農機具も空き家も、人づてで手に入る

関係が深まると、思いがけない助けが返ってきます。高価な農機具を貸してもらえたり、住む家を紹介してもらえたり。座談会でも、地域の方に助けられた話がいくつも出ました。地域とのつながりは、お金では買えない心強い味方になります。

仲間と学べるベース 集団農場という選択肢

広い農地を一人でやるのは不安、という声に応えて、当校にはベースと呼ばれる集団農場があります。千葉県内の市原、印西、柏などに広がり、今では横浜にも生まれました。機械をみんなで使い、作業を分け合い、収穫の喜びも共有する。わからないことはその場で仲間に聞けるので、自然と続いていきます。兼業農家は、決して孤独な挑戦ではありません。

正直なところ こんな不安もありますよね

ここまで良い話が続きました。でも、始める前にはいくつもの不安がよぎります。座談会でも、先輩たちが同じ壁を越えてきた話が出ました。ひとつずつ向き合ってみます。

知識ゼロでも、本当に大丈夫か

大丈夫です。4期生の浜さんは、知識ゼロからお米作りを始めました。今ではブルーベリーの観光農園を準備するまでになっています。最初から詳しい人は、ほとんどいません。学びながら、少しずつ身につけていけば十分です。

体力や年齢が心配

専業のように毎日畑に立つわけではありません。週末を中心に、できる範囲で体を動かすスタイルです。省力栽培なら作業も軽く、むしろ健康づくりになったという声が多く聞かれます。無理のないペースが、長続きの秘訣です。

一人でやりきれるか不安

その不安には、仲間と学べるベースが答えになります。機械を分け合い、困ったときはすぐ相談できる。一人で全部を背負わない仕組みが、続ける力になります。同じ目標を持つ仲間がいることは、思っている以上に心強いものです。

家族は理解してくれるか

だからこそ、本業を辞めない兼業が向いています。収入の柱はそのまま残し、空いた時間で少しずつ。家計に大きなリスクがないぶん、家族にも説明しやすくなります。収穫した野菜が食卓に並べば、応援に変わっていくこともあります。

兼業農家の始め方 会社員のうちに準備したい3ステップ

ここまで読んで、自分も始めたいと感じた方へ。無理なく踏み出すための3つのステップを整理します。

ステップ1 学びながら全体像をつかむ

最初にやるべきは、畑探しではありません。全体像を知ることです。時間の使い方、作物の選び方、売り方、家族の理解。続けられる設計を先に描くことが、遠回りを防ぎます。

ステップ2 農地取得 農地法3条の準備

農業を始めるには農地が要りますが、農地は家や車のように自由には買えません。農地法という法律のルールがあるからです。当校では、農地法3条にもとづく農地取得を時間をかけて学べ、書類の書き方まで実地で指導を受けられます。どこでも、ほぼ共通の書式なので、はじめての方でも安心です。

ステップ3 仲間と小さく始める

準備が整ったら、いよいよ実践です。いきなり大きく構えず、小さな一歩から。ベースで仲間と一緒に始めれば不安はぐっと軽くなり、失敗を笑い合える仲間がいることが、続ける力になります。

兼業農家は 定年後へのもう一つの保険になる

座談会の最後に、ある先輩がこう語りました。「仕事はやめずに農業に関わる。それが兼業農家の戦い方」。この言葉に、すべてが込められています。専業を目指すとハードルは高くなりますが、農業に関わるだけなら今日からでも始められます。兼業という形は、定年後へのもう一つの保険になるのです。

収入の柱を一本増やし、健康を保ち、地域に居場所をつくる。兼業農家は、これからの暮らしを静かに支えてくれる選択肢です。少しでも心が動いた方は、一度学校をのぞきに来てください。これまで280名以上が、同じ一歩からスタートしています。見学だけでも大歓迎です。

よくある質問

農業の知識がまったくなくても、兼業農家になれますか

なれます。兼業農家こそ、素人からはじめられます。座談会に登場した浜さんは、知識ゼロからお米作りを始めました。当校では基礎から継続的に学べるので、未経験でも安心してスタートできます。

会社員を続けながらでも、本当に時間は足りますか

足ります。省力栽培の作物を選べば、週末中心でも続けられます。お米なら年間およそ30時間ほどの作業で育てられる例もあり、無理のない範囲で取り組めます。

農地はどうやって手に入れるのですか

農地法3条にもとづく手続きが要ります。当校では、その書類の書き方まで実地で指導します。現在、約280名が首都圏内で就農をしています。

遠方に住んでいても通えますか

通えます。8期生の田中さんは千葉から横浜に通勤して、茂原市で就農しちえます。週末を中心に活動するスタイルなら、距離は大きな壁になりません。

一人で農業をやる自信がありません

仲間と学べるベース 集団農場があります。機械を共有し、作業を分け合えるので、一人で抱え込む必要はありません。

なぜ君は農家になれないのか ?
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