食料自給率向上が入学のきっかけ?
目次
食料自給率の関心が高まる理由
最近、食料自給率に関心を持つ日本人が急激に増えていますが、その背景には、国内外の食料事情の変化があります。特に、40~50代の家庭を持つ男性を中心に、自給自足の生活に興味を持ち始める人が多く見られます。その背景には、食の安全性や持続可能な生活への関心が高まっていることが一因です。加えて、令和の米騒動が大きな影響を与えた可能性があります。米の不足が家庭の食生活に直結し、日常生活に不安を感じたことが、自給率向上に対する意識を強めているように思えます。
これからの食料事情
これからの食料事情は、私たちが直面する現実的な問題です。国力の低下により、国際的な競争に負けて食料を買えなくなる「買い負け」が起きる可能性があります。また、世界では人口が急増しており、限られた食料資源の争奪が激しくなることが予想されます。さらに深刻なのは、農業従事者の急激な減少です。2030年までに農業者は50万人を下回るとも言われており、日本の食料生産力は大幅に低下する可能性があります。
また、日本国内では、今後30年の間に首都直下型地震や南海トラフ地震が70~80%の確率で発生する可能性があり、大規模な災害が食料供給に大きな影響を与えることが懸念されています。さらに、台湾有事の際には輸入が途絶するリスクも高まります。地球温暖化の進行に伴い、世界的に異常気象が発生し、不作が頻発する可能性もあります。これらの複数の要因が重なり合うことで、これからの食料事情は非常に不安定になると予測されます。
令和の米騒動とは?その影響を考察
令和時代の米騒動とは、米の供給不足や価格の高騰が起こった一連の出来事です。天候不順や世界的な物流の問題が重なり、米が市場から姿を消したり、急激に値上がりしたりしました。この事態は、都市住民に大きな衝撃を与え、日本の食料自給率の低さが改めて問題視されました。特に、輸入に頼る食文化に依存し過ぎることが、今後のリスクであると認識されたのです。この騒動を通じて、多くの人が「自分たちの食べ物は自分たちで作るべきだ」という意識を持つようになりました。
米作りが自給率向上に貢献する理由
個々の人の食料自給率を向上させる上で、米作りは最も効率的な手段の一つです。日本の気候や地形が米の栽培に適しているため、米は国内で安定して生産することが可能です。また、米は主食であるため、米の自給率が上がることで、食料自給率を大幅に改善できます。さらに、他の作物に比べて保存性が高く、長期的な備蓄が可能であることも大きな利点です。
米を育てる農業技術と持続可能性
米作りを成功させるには、伝統的な技術と現代の持続可能な農法を組み合わせることが重要です。農薬や化学肥料を控えた有機栽培や、地域の自然資源を最大限に活用する方法を学ぶことで、環境に優しい農業を実践できます。また、最新の農業技術を活用することで、より効率的で持続可能な米作りを実現できます。生徒たちは、これらの技術を学びながら、自給率向上に向けた実践的なスキルを身に付けることができます。
チバニアン兼業農学校修了生はどうしているか?
チバニアン兼業農学校を修了した生徒たちは、全くの未経験から稲作をスタートしました。彼らは十数人単位で協力しながら、田んぼを耕し、互いに助け合いながら米作りを行っています。兼業農家であるため、基本的には最小限の機械しか所有していませんが、足りない機械が必要な場合には、近隣の営農者から機械を借りています。
また、水管理などの作業は、先輩農家が月極めで格安で引き受けてくれるなど、地域全体で協力し合いながら農業を進めています。今年で二年目を迎えましたが、これまでほとんど問題なく収穫が行われており、着実に成果を上げています。
農林水産省の発表では、1反あたり600kgの収穫が見込まれ、大規模営農では年間23時間の労働とされています。チバニアンの兼業農家は、それぞれが年間40時間ほどの作業はないかと思います。実際は、このくらいの時間で自分の家族の食料自給率を100%にできるのです。
鶏を育てると肉、卵のたんぱく質もとれる
今年中には、当校の講師で養鶏農家の川合先生より1年半育てた廃鶏をもらって、鶏小屋を実験的に作ろうと考えています。もともと、戦前の日本人のタンパク質の多くは、鶏肉や卵でとっていました。それを学校圃場にて検証を行おうと考えています。幸いなことに、修了生は多士済々なため、DIY系の方々の力を借りて簡易なパレットなどを使い、格安で作ってみようと考えています。
また遠方のため、毎日来ることのできない修了生向けに数人で共同して鶏小屋を管理できるような仕組みも作っていきたいと考えています。鶏糞は肥料にも活用でき、ふ卵器を一人で買うには、もったいないですが、それなりの人数がいれば、様々な鶏も飼うことができるようになるでしょう。
菌ちゃん農法を学校でやる理由
菌ちゃん農法は、近年注目されている自然栽培の一つで、持続可能な農業を目指す上で非常に有効な手段です。この農法は、土壌に含まれる微生物の力を利用して作物を育てるため、外部からの肥料に依存しません。したがって、たとえ肥料の輸入が途絶えた場合でも、野菜を育て続けることができるという大きな利点があります。特に、日本のように輸入に大きく依存している国にとって、この農法は食料自給率を向上させるための重要な選択肢です。
また、菌ちゃん農法は化学肥料や農薬を使用せず、自然の力を最大限に活用するため、環境にも優しい方法です。これにより、土壌が長期間にわたって健康な状態を保ち、持続可能な農業が実現できます。生徒たちは、この農法を学ぶことで、自然環境と調和した農業を実践し、食料自給率の向上に寄与することができるのです。環境保全と自給自足の双方を両立できる菌ちゃん農法は、これからの農業の重要な柱となるでしょう。