農家の収入は低い?道はあるか

目次
なぜ農業の収入は安定しにくいのか

農業に真摯に向き合う農家たちの努力にもかかわらず、日本の農業収入は長年にわたり厳しい状況が続いています。その背景には、国際競争の激化、資材コストの上昇、そして後継者不足という構造的な課題があり、農家の経営を圧迫しています。
チバニアン兼業農学校に通う多くの社会人も、こうした現実をしっかり理解した上で、「副業としての農業」「暮らしの一部としての農業」に挑戦しています。ここでは、収入低迷の3つの大きな原因を、私たちの視点から解説します。
国際競争と気候変動にさらされる農業
現在の農業は、かつてないほどグローバルな市場と直結しています。安価な輸入農産物が国内に流入することで、国産品の価格競争力が低下。また、消費者のニーズが多様化する中で、昔ながらの野菜や米だけでは収益確保が難しくなっています。さらに、近年の異常気象も大きなリスクです。天候に収穫が左右される作物においては、1年の努力が台無しになることもあります。ただ兼業就農は、本業があるため、これらのリスクをそもそも防げるという側面もあります。
コストが上がっても、売値は上がらない現実
肥料や農薬、燃料代、資材費などのコストは上昇を続けていますが、そのぶん農産物の販売価格が上がるとは限りません。特に小規模農家にとっては、大規模生産者や輸入品との価格競争に巻き込まれると、利益がほとんど残らないという声も少なくありません。このような現実の中で、「菌ちゃん農法」のように肥料が不要な農法を学ぶことも重要ですので、当校では重点的に講義を行っています。
人手不足と高齢化が進む農業現場
日本の農業の多くは高齢者によって支えられています。若い世代の参入が少ないため、人手不足が続き、作業負担は年々増加。結果として、生産性の低下や、休耕地の増加といった課題が生じています。しかし、チバニアン兼業農学校では、医師・公務員・会社員・看護師など、さまざまな職業の方々が「人生後半の新たな挑戦」として農業を学びに来ています。定年後に農地を借りて野菜を育てる、休日を利用して地域の農業に関わる――そんな“小さな担い手”が、これからの農業を支える可能性を秘めているのです。
農家の収入問題に正面から向き合う

農業は、私たちの暮らしに欠かせない食糧を供給する基幹産業です。しかしその一方で、「農家の収入が安定しない」「生活が成り立たない」といった課題が常に議論されています。チバニアン兼業農学校に通う受講生たちは、今の仕事を続けながら「自分の手で農業をやってみたい」「家族に安全な野菜を届けたい」と考える方ばかり。だからこそ、農業の収益構造や現実的なリスクを理解することがとても重要です。ここでは、農業収入が低迷する要因や、その背景にある構造を、兼業農家の視点からわかりやすく紐解いていきます。
なぜ農業だけでは生活が難しいのか?
農業収入が不安定な背景には、いくつかの大きな課題があります。まず、農産物の価格は市場に左右されやすく、生産者が価格を決める力(価格決定権)が弱いこと。加えて、資材費や燃料費などのコストは年々上がる一方で、販売価格はそれに見合っていないのが現実です。
さらに、日本では一戸あたりの農地面積が限られているため、大規模に展開しにくく、効率的な経営が難しい地域も多いです。自然災害や気候変動による被害も大きく、努力が一瞬で無駄になるケースもあります。こうした現実を前に、私たちチバニアン兼業農学校では「副業・兼業という立場を活かし、無理のない規模で安定収入を目指す」ことを大切にしています。
農業の収益構造とは?
農業の収益構造は、他の産業と比べても特殊です。生産物の価格は市場任せ、そしてコストの多くは固定(肥料・資材・人件費など)であるため、収入は天候や市場価格に強く左右されます。たとえ技術や努力で品質を上げても、市場価格が下がれば収益は減ってしまいます。また、国や自治体からの助成金や補助金も経営を支える一要素ですが、申請の手間や制度の変更リスクもあるため、完全に頼りきることはできません。こうした中で、チバニアン兼業農学校では「販売ルートを自分で持つ」「加工品で付加価値を生む」「農業+教育・観光など他分野と連携する」といった多角的な収益づくりを提案しています。
日本の農家の平均収入と、兼業という選択肢
日本の専業農家の平均農業所得は、統計上では年間200万円~300万円前後にとどまることが多く、他の業種に比べて低い水準です。特に単一作物や市場依存型の農家では収入の波が大きく、経営の安定性が課題となっています。しかし、チバニアン兼業農学校に集まる生徒たちは、収入源を農業一本に絞るのではなく、「会社の収入+農業収入」でバランスをとるという、新しい農業スタイルに挑戦しています。平日は会社勤め、週末は畑で農作業。栽培した野菜を直売所で販売したり、地域イベントで加工品を出したりと、無理なく続けながら副収入を得る姿が広がっています。
兼業農家だからこそできる、収入アップの工夫

農業だけで生活するには厳しい現実がある――それは、チバニアン兼業農学校に集う受講生の多くが最初に感じる不安のひとつです。気候変動や物価上昇、消費者のニーズ変化などにより、農家の収入は常に不安定になりがちです。だからこそ、私たちは「農業を本業にしない」ことを前提に、収入を少しずつ増やしていく方法を学んでいます。無理なく、でも確実に農業を収入源に変えていく――その具体的な取り組みを紹介します。
直売やマルシェで、野菜を“自分の手”で届ける
チバニアン兼業農学校では、地域の直売所や週末マルシェに野菜を出荷する卒業生が増えています。市場やJAを通すのではなく、自分の名前で販売できることで、価格設定にも自由が生まれ、利益率を高めることができます。また、買ってくれたお客様の顔が見えるからこそ、「また作りたい」というモチベーションもアップ。リピーターの声を反映して品種を変えたり、収穫のタイミングを工夫したりと、自然とマーケティングの視点が身につきます。
加工品や体験イベントで、農業に“もう一工夫”
農業を「作って売る」だけで終わらせず、「育てる+加工する+体験にする」ことで、収益性はグンと上がります。チバニアン兼業農学校では、野菜をピクルスやドライ野菜に加工する体験会や、親子で楽しめる収穫体験などを実施し、参加者から好評を得ています。例えば、形が不揃いで出荷できない野菜を活用してピクルスをつくる、収穫体験とランチを組み合わせた“農業レジャー”を開催するなど、小さな工夫が高い付加価値につながります。「副業農家」として取り組むからこそ、こうした多角的なアプローチが可能なのです。
多品目・少量栽培で、リスクも魅力も分散する
チバニアン兼業農学校では、「一種類だけを大量に育てる」やり方よりも、「家庭菜園の延長のように、色んな作物を少しずつ」育てる方が現実的と考えています。トマトが不作でもナスが取れればOK。夏野菜が終わっても、秋冬野菜へシフトすればまた販売チャンスがある。そんな風に、作物と季節のバランスを取りながら栽培することで、自然の変化や市場価格の波に強くなれるのです。また、栽培の記録をスマートフォンで管理したり、Instagramで収穫状況を発信したりと、ICTを活用する受講生も増えています。ITと農業の融合は、これからの兼業農家にとって大きな武器となるでしょう。
兼業農家にとっての補助金とは?現実と活用のヒント

農業には想像以上にコストがかかります。苗・資材・肥料はもちろん、農地整備や農具の購入など、初期費用だけでも負担は大きく、継続的な収入がなければ維持は困難です。こうした農業経営を支えるものとして「補助金・助成金」がありますが、これは主に専業農家やフルタイム就農者を対象とした制度が多く、週末だけ農業に取り組む兼業農家にとっては、必ずしも簡単に受けられるわけではありません。とはいえ、兼業農家にも利用できる制度は存在します。上手に情報を探し、適切な支援を受けることで、農業への第一歩を後押しすることができます。
週末農業でも使える補助金はある?
国の代表的な農業補助金制度には、「経営開始資金」や「青年等就農資金」などがありますが、これらは就農に専念することが条件となっており、フルタイムで農業に従事する人向けの制度です。そのため、チバニアン兼業農学校に通うような週末ペースの兼業農家にとっては、基本的には対象外となります。
しかし、以下のような制度は兼業農家にも活用しやすい傾向があります:
- 移住・二拠点生活支援型の補助金(市町村が提供)
- 6次産業化に関する商品開発や設備投資への助成
- 自治体独自の「地域活動型」補助金(体験農園、地域参加などを含む)
とくに、農業を始めたい場所の市町村が実施する補助金は、規模が小さくても対象になることが多く、兼業者にとって現実的な選択肢です。
実際に補助金でできること
兼業農家にとって補助金の役割は、「大規模な機械を買う」よりも、「小さく始めて続けられる仕組みづくり」にあります。
例えば、以下のような用途に使われています:
- 地元直売所に出すための加工用資材の購入
- 小型の管理機や収穫ネットの導入
- 農園イベント開催に向けたテントや掲示物の整備
- 商品パッケージデザインの委託費
チバニアン兼業農学校でも「メンマづくり」や「筍収穫」の講座も人気です。
補助金を使うには何が必要?
補助金を受けるには、いくつかの“越えるべきハードル”があります。たとえ小規模な制度であっても、次のような準備が求められるのが一般的です:
- どんな目的で資金を使うのかを明確にする
- 継続可能な計画(作物・販売先など)を立てる
- 地域にどう貢献するか、行政の理解を得る
- 申請書や実績報告を正確に提出する
こう聞くと「面倒そう」と感じる方もいるかもしれませんが、チバニアン兼業農学校では、先輩受講生の事例や、自治体との関係性を踏まえた申請アドバイスも行っています。
農家を取り巻く環境の変化と、その向き合い方

農業をめぐる環境は、今まさに大きな転換点を迎えています。気候の不安定化や人口減少、国際競争の激化など、専業・兼業を問わず農家にとって試練の時代が続いています。ただ、チバニアン兼業農学校には、こうした時代の流れの中でも「今の仕事を続けながら農業に挑戦したい」という都市生活者が集まり、小さな畑から新しい農業の形をつくり始めています。「すべてを変える」のではなく、「少しずつ取り入れてみる」――そんなスタンスで始める農業こそが、これからの農業の一つの選択肢です。
気候変動とどう向き合う? 週末農業でもできる工夫
近年の気候変動により、農業はこれまで以上に自然環境の影響を受けやすくなっています。大雨や猛暑、霜の時期のズレなど、自然のリズムが乱れる中で、作物の生育にも支障が出ています。週末農業の受講生の間でも、「作付けの時期を外した」「収穫の予定がずれた」といった声は珍しくありません。だからこそ、気象情報に敏感になり、計画を柔軟に調整する力が重要です。チバニアン兼業農学校では、天候に強い品種や少量多品目栽培の方法、さらには畝立てやマルチの工夫など、初心者でもできる気候リスクへの対策を丁寧に指導しています。
人口減少の時代にこそ、兼業農家が希望になる
日本の農業人口は年々減少し、高齢化が進む中で「担い手不足」が深刻化しています。しかしその一方で、都市部に住みながら農業に関わる人たちも増えており、兼業就農という新しい形が注目されています。実際、チバニアン兼業農学校には、会社員・医師・デザイナー・公務員など多様な職業の方が集い、週1~月数回の頻度で畑に通っています。「定年後に本格的にやりたい」「まずは小さく始めたい」――そんな声が現場では当たり前になってきました。農村部に移住しなくても、農業に関わることはできます。人口減少の時代だからこそ、“つながり方”の選択肢が広がっているのです。
輸入自由化の時代に、私たちができること
世界中から安価な農産物が入ってくる時代。価格競争だけを考えれば、国内農業は厳しい状況です。ですが、兼業農家には価格より「思い」や「顔の見える関係」で勝負する道があります。チバニアン兼業農学校の卒業生の中には、収穫した野菜をマルシェで販売したり、「●●さんの野菜だから買いたい」と言われる関係を築いている人もいます。小さな規模だからこそ、安心・安全、環境配慮、ストーリー性のある野菜が育てられ、それが消費者の信頼を生み出しています。ブランド化や高付加価値化の取り組みは、週末農業でも十分に可能です。