農家の所得は低い? 50代から考える兼業就農という選択肢

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「農業は儲からない」は本当か

農業所得の現実と、兼業就農という選択肢

「農業は儲からない」と耳にすることがあります。しかし、農業で得られる所得は、作物の種類、経営規模、地域、販売方法、必要経費、作業時間などによって大きく異なります。

一方で、農業は天候や市場価格、資材費の変動を受けやすい仕事です。農業所得だけで生活費を継続的に賄うためには、十分な準備と経営上の工夫が必要になります。

本記事では、給与収入を維持しながら、小さな規模で農業に関わる「兼業就農」について、その可能性と留意点を考えます。

なぜ農業所得は変動しやすいのか

農業経営は、資材費の変動、高温や大雨などの気象リスク、担い手不足、販売価格の変動といった複数の課題の影響を受けます。特に小規模な経営では、費用の増加や収量の減少が所得に反映されやすい場合があります。

兼業就農であっても、こうした農業上のリスクがなくなるわけではありません。ただし、給与収入を維持しながら取り組むことで、農業所得の変動が家計全体に与える影響を抑えやすくなる場合があります。

天候と市場の影響を受ける農業

品目によっては、輸入農産物との価格競争に直面することがあります。また、高温、大雨、台風、霜などの気象条件は、作物の収量や品質に大きな影響を与えることがあります。

専業で農業を営む場合、こうした変動は生活に直接影響します。兼業就農の場合も、天候による被害そのものを避けられるわけではありませんが、所得源を給与収入だけ、または農業所得だけに限定しないことで、生活設計上のリスクを分散しやすくなります。

資材費と販売価格のバランス

肥料、農薬、燃料、農業用資材などの価格変動は、農業経営に直接影響します。必要経費が増えても、それを販売価格に十分反映できなければ、農業所得が圧迫されることがあります。

そのため、作物を育てる技術だけでなく、必要経費を把握し、無理のない栽培方法を選ぶことも重要です。

チバニアン兼業農学校では、土づくりを重視し、外部資材への依存を抑える栽培方法について学ぶ機会も設けています。ただし、必要な資材、作業量、収量、費用は、土壌や作物、栽培環境によって異なります。実践にあたっては、自分の条件に合う方法を検討することが大切です。

担い手不足と、多様な農業への関わり方

農業従事者の高齢化や担い手不足は、多くの地域で重要な課題となっています。これからの農業では、専業農家だけでなく、本業を持ちながら農業に関わる人の存在も大切になります。

チバニアン兼業農学校では、会社員、公務員、医療職など、本業を持ちながら農業を学ぶ受講生がいます。定年後の農業を見据えて学ぶ人、週末を利用して地域の農業に関わりたい人、まずは家庭菜園より一歩進んだ栽培を経験したい人など、目的に応じた関わり方があります。

農業に関わるために、必ずしも直ちに仕事を辞めたり、農村部へ移住したりする必要はありません。まずは学び、体験し、自分に合った距離感を見つけることも、農業への大切な第一歩です。

農業だけで生活する難しさ

農産物の販売価格は、市場動向や販売先との取引条件によって変動します。また、燃料費や肥料費などの必要経費が増えれば、売上が同じでも手元に残る所得は減少します。

さらに、天候不順や自然災害によって、収量や品質が影響を受ける場合もあります。農業所得だけで生活費を賄う場合、こうした変動を直接受け止める必要があります。

だからこそ、初めから生活のすべてを農業所得に委ねるのではなく、本業を続けながら無理のない規模で経験を積むことも、現実的な選択肢の一つです。

当校では、仕事を続けながら農業を学び、自分に合った関わり方を段階的に考える姿勢を大切にしています。

農業所得を考えるうえで大切なこと

農業について考える際は、「売上」と「所得」を分けて考えることが重要です。

農産物を販売して得た金額が売上であり、そこから肥料費、資材費、燃料費、販売手数料、移動費などの必要経費を差し引いたものが農業所得です。

売上が増えたとしても、必要経費や作業負担が大きく増えれば、所得が同じように増えるとは限りません。そのため、農業で収益を得ることを考える場合は、栽培技術だけでなく、費用管理や販売方法についても学ぶ必要があります。

当校では、次のようなテーマを通じて、農業との関わり方を考えます。

  • 直売所やマルシェなどを活用した販売方法
  • 農産物の魅力を伝えるための情報発信
  • 加工品や体験活動による付加価値化
  • 無理のない規模で続けるための栽培計画

ただし、加工品販売や体験事業を行う場合は、衛生管理、許可・届出、食品表示、集客などについて確認が必要となる場合があります。

給与収入を維持しながら農業に取り組むという選択肢

農業に関する公的統計を見る際には、「農業収入」と「農業所得」、また対象となる経営体の区分を確認することが重要です。農業所得は、品目、規模、地域、販売方法によって大きく異なるため、平均値だけで個々の経営を判断することはできません。

兼業就農では、「給与収入+農業所得」という形で、生活基盤を維持しながら農業に取り組むことができます。

例えば、平日は本業を続け、休日に畑を管理する。収穫した野菜を直売所やマルシェで販売する。まずは少量から始め、作業時間や費用、販売の難しさを確かめながら、取り組み方を見直していく。

こうした進め方であれば、農業との関わり方を段階的に広げていくことができます。

ただし、兼業就農であっても、農業による利益が必ず生じるわけではありません。必要な費用や作業時間を把握し、無理なく続けられる規模を見極めることが重要です。

兼業就農で考えたい販売方法の工夫

直売所やマルシェで、作物の魅力を伝える

直売所やマルシェでの販売は、消費者に作物の特徴や栽培への思いを直接伝えやすい方法です。販売先によっては、値付けや見せ方を工夫しやすいという利点もあります。

一方で、出店料、販売手数料、包装、搬入、売れ残りへの対応なども必要になります。販売を始める際は、収穫量だけでなく、準備や移動にかかる時間と費用も確認することが大切です。

また、SNSを活用して、収穫情報や出店予定、作物の育ち方を紹介する方法もあります。会社員として培った情報発信や顧客対応の経験が、農業で役立つ場面も考えられます。

加工品や体験活動で、農産物の価値を伝える

農産物は、販売するだけでなく、加工品や体験活動を通じて魅力を伝えることもできます。

例えば、規格外野菜を活用した加工品づくりや、親子向けの収穫体験などは、農産物の背景や地域とのつながりを知ってもらう機会になります。

当校でも、ピクルスやドライ野菜づくり、収穫体験などを、農業の可能性を考える学びの題材として取り入れることができます。

ただし、加工品の販売や飲食物の提供を行う場合は、内容に応じて営業許可・届出、食品表示、衛生管理などの確認が必要です。実施前に、管轄の保健所や自治体へ確認してください。

少量多品目栽培で、作柄リスクを分散する

一つの作物だけに依存せず、複数の作物を少量ずつ育てる方法は、作柄リスクを分散しやすいという特徴があります。

例えば、ある作物の生育が思わしくない場合でも、別の作物で補える可能性があります。また、収穫時期が異なる作物を組み合わせることで、販売や自家消費の時期を分けることもできます。

一方で、多品目栽培は、管理方法や収穫時期が複雑になりやすく、作業量が増える場合もあります。栽培記録をスマートフォンなどで管理し、自分の生活に無理なく組み込める作物や作業量を把握することが大切です。

兼業就農と支援制度

農業を始める際には、農具や資材、農地の確保、移動費など、一定の費用が必要になります。そのため、利用できる支援制度がないか調べることも重要です。

ただし、農業に関する支援制度は、年齢、就農形態、認定の有無、地域、事業内容などによって対象要件が異なります。週末を中心とした兼業就農では、対象とならない制度もあります。

国の就農支援制度には、一定の要件を満たす人を対象としたものがあります。また、「青年等就農資金」は補助金ではなく、要件を満たす人が利用を検討できる融資制度です。

一方で、自治体によっては、移住、地域活動、農産加工、体験事業、空き農地の活用などに関する独自の支援制度を設けている場合があります。

利用を考える際は、農業を始めたい地域の自治体、農業委員会、関係機関などへ、最新の制度内容と対象要件を確認してください。

気候変動とどう向き合うか

高温、大雨、霜の時期の変化などは、作付けや収穫の計画に影響を与えることがあります。

週末を中心に農業へ取り組む場合は、作業できる日が限られるため、天気予報や生育状況を確認しながら、計画を柔軟に調整することが重要です。

当校では、少量多品目栽培、畝立て、マルチの利用など、天候リスクを考えながら取り組むための基本的な工夫についても学びます。

自然条件を完全にコントロールすることはできません。しかし、作物の選び方や栽培計画、日々の観察によって、影響を小さくするための備えを考えることはできます。

人口減少の時代に広がる、農業との関わり方

農業従事者の高齢化や担い手不足が課題となる中で、農業への関わり方は一つではありません。

専業で農業を営む人だけでなく、本業を持ちながら休日に農作業へ参加する人、将来の就農を見据えて学ぶ人、地域の農家を手伝う人など、さまざまな関わり方があります。

農村部に移住しなくても、地域の農業とつながる方法はあります。まずは小さな畑で学ぶこと、地域の活動に参加すること、実際に作物を育ててみることが、自分なりの農業との関係を見つけるきっかけになります。

価格だけではない価値を伝える

品目によっては、輸入農産物との価格競争が課題となることがあります。そのような中で、小規模な農業では、価格だけでなく、栽培方法、生産者の考え、地域とのつながりなどを丁寧に伝えることが重要になります。

直売所やマルシェでは、消費者と直接会話をしながら、自分が育てた作物の特徴を伝えることができます。こうした関係づくりは、小規模だからこそ取り組みやすい販売方法の一つです。

ただし、ブランド化や高付加価値化には、品質管理、情報発信、販売先の確保、継続的な信頼づくりが必要です。始める際は、無理のない範囲で試しながら、自分に合った方法を探していくことが大切です。

最後に

農業所得は、作物、規模、地域、販売方法、必要経費などによって大きく異なります。そのため、農業は一律に「儲からない」とも、簡単に収益化できるとも言い切れません。

一方で、本業を続けながら小さく始める兼業就農は、生活への影響を抑えつつ、農業との関わり方を探る方法の一つです。

50代から農業を学ぶ場合でも、これまでの仕事で培った経験や人とのつながりが役立つ場面はあります。大切なのは、必要な費用や時間、体力、販売方法を確認し、自分に合った規模から始めることです。

チバニアン兼業農学校では、農業に関心のある方に向けて、無料オンライン説明会を開催しています。講座内容や受講の流れ、仕事を続けながら農業を学ぶ方法について説明しています。

農業をこれからの暮らしにどのように取り入れられるのかを考える機会として、ご活用ください。


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