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「ふるさと住民登録制度」検討加速 関係人口増の機運に

二拠点生活と住民票──新制度創設の動きに注目

今朝の「日本農業新聞」に掲載されていた、二拠点生活者向けの新たな登録制度の創設に関する記事を読んで、大変興味深く感じました。記事では、能登半島地震からの復興計画の中で「二地域居住者の登録制度」を新たに整備していく動きが紹介されていました。これは、都市と農村を行き来する人々、特に農業や地域活動に関心を持つ層にとって重要な転換点となるかもしれません。
私たちチバニアン兼業農学校は、まさに都市と農村をつなぐ立場にある団体です。学校の卒業生の多くが、都市で本業を持ちながら、週末や季節に応じて農村で農作業を行う“兼業農家”として活動しています。彼らにとって、住民票をどう扱うかは、これまであまり大きな課題ではありませんでした。実際、農作業は住民票がどこにあっても可能ですし、地元の協力があれば問題なく運営できます。
しかしながら、最近では家族で別居して二拠点生活を送る事例も増えてきています。たとえば、親は農村の家に滞在し、子どもは都市部の学校に通うというスタイルです。こうした家庭にとっては、住民票の扱いがより現実的な問題になります。
もしも新たな登録制度が整えば、そうした二拠点生活者が農村との関係性をより公式に認められ、行政サービスや地域活動への参加がしやすくなる可能性があります。ただし、住民票を移すことでどのような権利や義務が発生するのか、税金や医療制度への影響はどうか、といった点についても慎重に見極める必要があります。
現段階では、制度の詳細が明らかになっておらず、「登録することのメリットがどこまで現実的なのか」は見えていません。私たちの学校としても、制度が進展する過程を注視していくつもりです。特に、卒業生たちが安心して農村に関わり続けられるよう、制度の使い方や活用事例を今後紹介できるようにしたいと考えています。
新制度の創設が、兼業農家の未来をさらに後押しするものになることを、私たちは大いに期待しています。
「ふるさと住民登録制度」検討加速 関係人口増の機運に
総務省は居住地以外の特定地域に継続的に関わる「二地域居住」をする人たちを登録する「ふるさと住民登録制度」の創設に向けた検討を加速している。近く政府が示す地方創生の基本構想で、目玉政策になる見通しだ。どこの自治体の誰でも登録しやすい仕組みとし、全国で関係人口創出へ機運を高める狙いだが、課題を訴える声もある。
同制度は、石破首相肝いりで設置した地方創生の有識者会議である「新しい地方経済・生活環境創生本部」で、産直アプリの運営などを手がける「雨風太陽」の高橋博之代表が提案。居住地以外の市町村にふるさと住民として登録できる制度を作り、国が財政措置も取るよう提言した。
将来的には、公的な「第2の住民票」を交付し、住民税を居住地と登録先の二つの自治体に分割納税できるようにし、地方の財源確保につなげることも構想。交流や観光だけではなく、農山村に援農や副業・兼業、発信などで貢献する関係人口を可視化する。
当初、受け入れる自治体側は小学生の区域外就学制度を利用しやすくしたり、就労環境を整備したりするといった住民サービスの充実を想定。国は自治体に住民税の分割納税や普通交付税の算定への組み込むなど提言は踏み込んでいた。
「奪い合い」の懸念も
ただ、同省は「納税や投票権などを組み込むべきだという指摘はあるが、まずは簡便で誰もが登録しやすい仕組みにしたい」(地域政策課)とする。既に一部自治体が取り組んでいるようなスマートフォン向けのアプリを使い、登録者を「ふるさと住民」とし登録証を発行することを検討する。
しかし、既にアプリで登録する自治体関係者には「登録者が増えても地域に恩恵があるわけではない」などの声がある。「アプリの登録者を増やす目的になれば、役所の仕事が増えるだけ」(近畿の自治体職員)、「登録者数だけが注目され、移住者の奪い合いではなく、今度は登録者の奪い合いになる」(東日本の自治体職員)といった懸念もある。
同省は「国がプラットフォームを作ることで、全国で関係人口創出の機運を高めたい」とする。