スーパーストロング菌ちゃん畝の成果

スーパーストロング菌ちゃん畝の成果

昨年、当校では「菌ちゃん先生」として知られる吉田俊道氏を講師にお招きし、土づくりに関する講義を実施しました。その中で強調されていたのが、「土の中に空気をしっかり届けること」の重要性です。微生物、とくに糸状菌などの有用な菌類の活動には、空気が欠かせないという指摘でした。

この講義内容を受けて、当校では実験的に「空気の通りを意識した菌ちゃん畝」の制作に取り組みました。具体的には、「ルートプラスポット」という、側面に小さな穴が多数空いた通気性の高いポットを使用しました。このポットは本来、苗の根に横から空気を供給することで、一般的な栽培よりも約1.2倍の生育促進効果があるとされています。今回はこれを活用し、畝の一部を特殊な構造にし、従来の菌ちゃん畝との比較を行いました。

実験では、サンチョ、キャベツ、ブロッコリーの3種類の野菜を用意し、同じ日に、同じ苗、同じ管理条件のもとで2種類の畝に植え付けました。ひとつは通常の菌ちゃん畝、もうひとつがルートプラスポットを埋め込んだ改良型の菌ちゃん畝です。施肥および灌水は一切行わず、自然条件のみでの栽培、いわゆる粗放栽培としました。

結果は明確でした。改良型の菌ちゃん畝に植えた野菜群は、全体的に生育が良好で、特に葉の広がりや茎の太さなどが目立ちました。サイズや重量においても、通常畝のものと比較して優位性がありました。

この違いの要因として考えられるのは以下の通りです。

1.通気性の向上による微生物活性の促進…ルートプラスポットによって土壌内部に横方向からも空気が入り、好気性の微生物が活性化しやすい環境になった可能性があります。とくに糸状菌は空気を好み、植物の根に共生しやすいため、生育促進につながったと考えられます。

2.根の呼吸環境の改善…植物の根そのものも、酸素を必要とします。空気が十分に供給されることで根が健全に育ち、結果として地上部の生長にも好影響を与えたと考えられます。

3.菌ちゃん畝の有機質との相乗効果…従来の菌ちゃん畝は、落ち葉や刈草、米ぬかなどを用いた有機物中心の土壌づくりです。もともと微生物が繁殖しやすい環境であるところに、空気の通り道が加わったことで、微生物の増殖・定着がさらに促進されたと推測されます。

また、特筆すべきは、今回の栽培で肥料や水を一切与えていない点です。一般的な慣行栽培では考えにくい条件にもかかわらず、ここまでの生育が確認できたのは、土壌環境が極めて整っていたことを示しています。自然の力を活かした持続可能な栽培方法として、今後の普及・検証の価値は高いといえるでしょう。

今回の実験結果を受け、当校では他の作物や異なる土壌条件でも同様の試験を行う予定です。また、生徒が自宅の畑などでも再現できるよう、ルートプラスポットの活用方法や改良型菌ちゃん畝の作り方をマニュアル化する計画も進めています。

今後も、講師陣の知見を活かしながら、現場で実践可能な農法の検証と改善を重ね、再現性の高い知識として広く共有していく方針です。特に肥料や農薬に依存せず、環境にも配慮した農業のあり方として、多くの兼業農家にとって有用なモデルになりうると考えています。

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