農家が教える 耕さない農業: 草・ミミズ・微生物が土を育てる
農家が教える 耕さない農業: 草・ミミズ・微生物が土を育てる
この本は、不耕起栽培に関心がある方々にとって非常に有益な一冊です。不耕起栽培とは、文字通り土を耕さずに作物を育てる農法で、これを実践することで土壌の健康を守り、環境に優しい農業を目指すことができます。現代における農業は、地球温暖化や資源の枯渇など、さまざまな問題に直面しており、その中で持続可能な農業の重要性が高まっています。この本では、不耕起栽培がその解決策の一つとしてどれほど有効かを解説しています。
私が運営する「チバニアン兼業農学校」でも、この不耕起栽培の実践に取り組んでいく予定です。特に、小規模農家や兼業農家にとっては、大規模農業と異なり、燃料や肥料のコストが大きな負担となります。この点で、不耕起栽培は非常に有用です。農業を続けるために必要な資源を効率的に使い、持続可能な形で生産を続けていける方法を学ぶことができるからです。
この本には、不耕起栽培の実践方法が具体的に示されており、初心者でも取り組みやすい内容になっています。土を耕さないことにより、土壌の微生物が活発に働き、有機物の循環が促進されます。これによって、土の健康が保たれ、農作物も健全に育ちやすくなるのです。また、不耕起栽培を行うことで、土壌の浸食を防ぎ、雨水の浸透も促進されるため、環境への負荷が軽減されることがわかります。
特に印象的なのは、当校の自然栽培の先生である陶先生が寄稿している点です。陶先生は長年にわたり自然栽培に取り組み、その知識と経験を多くの人々に伝えてきました。彼の実践的なアドバイスは、実際に不耕起栽培を行う上で非常に役立ちます。陶先生の考え方は、農業に対する情熱とともに、持続可能な農業を実現するための具体的なステップを示してくれるものです。
本書では、不耕起栽培が農業の未来にどのように貢献できるかを学びながら、実践に移すための手順を段階的に紹介しています。土を耕さないことのメリットやデメリット、また実際に使える道具や技術についても詳しく説明されています。これにより、読者は自分の農地で実際に不耕起栽培を試してみようという気持ちが湧いてきます。
地球温暖化が進む現代において、持続可能な農業は非常に重要なテーマとなっています。気候変動に対応するために、私たち農家も環境に優しい方法を選ぶことが求められています。不耕起栽培は、その一環として大きな可能性を秘めています。また、肥料や燃料の問題も深刻化しており、これらの問題を解決するためには、化学肥料に依存しない農法への転換が必要です。不耕起栽培は、化学肥料の使用を最小限に抑えることができ、環境にも優しく、コストの削減にもつながります。
大規模農家であれば、規模の経済を活かして他の方法でも収益を上げることができるかもしれませんが、小規模な兼業農家にとっては、不耕起栽培は非常に重要な選択肢となるでしょう。少ないリソースで効率的に農業を営むためには、この方法を学び、実践していくことが大切です。
私たちの「チバニアン兼業農学校」でも、この不耕起栽培を実証していく予定です。農業を始めたばかりの方にも、実践的なノウハウを提供できる良い機会ですし、地域の環境に優しい農法を広めていくことも目的の一つです。自然環境と調和した農業のあり方を学びながら、持続可能な農業の未来を築いていきたいと思っています。
この本を通じて、不耕起栽培に対する理解が深まり、より多くの農家がこの方法を取り入れるようになることを願っています。また、これから農業を始める人々にも、この本が良いガイドとなり、農業の楽しさと可能性を広げるきっかけになることを期待しています。
本の概要
いま、不耕起栽培がおもしろい!人が土を耕さなくても、カバークロップ(草)や有機物で地面を覆えば、草の根や土壌生物が土を耕し、元気な作物が育つ極上の土を育ててくれる。世界でも関心を呼んでいる新しい不耕起栽培のやり方を、全国の農家の実践から分かりやすく紹介。
目次
《巻頭》世界で日本で「耕さない農業」
世界で広がる「耕さない農業」
ローラークリンパーで倒して敷き草に
草って邪魔なの?
バケットでライムギ倒し成功!
第1章「耕さない農業」を見た
草や緑肥を活かす
草は緑のソーラーパネル
こぼれダネのイタリアンが光を受け止め、土を耕す
大地再生農業で育てるダイズ
大規模慣行農業でミックス緑肥と省耕起から始めてみた
ミミズや微生物が活きる
ワラや落ち葉で有機物マルチ 裸の土はかわいそう
究極の「放任栽培」 90歳、耕さない農業に目覚める
中山間の豪雪地帯 耕さない菜園は春作業が爆早
時代は不耕起! 物価高騰にも異常気象にもビクともしない
耕さないノー ディグ農法
耕作放棄地で草の上から ノー ディグ農法やってみた
「耕さない農業」のいま、これから
「耕さない」農法の可能性 有機栽培へのムリのない転換も
第2章 草は刈らずに倒す
【図解】 刈らずに倒すとなにがいい?
ドラム缶クリンパー
ローラークリンパーを自作してみた
パレットでイタリアンを押し倒し
分厚いライムギマルチ、成功のポイントが見えた!
足で踏んづけるフットクリンパー
リボーンローラー
第3章 「耕さない農業」ここが知りたい!
ホントにできるの? 気になる不耕起栽培 Q&A
耕さない農業で経営できる? 土はホントによくなる?
【図解】不耕起と緑肥による 炭素貯留のしくみ
不耕起&緑肥の地球温暖化防止力
第4章 異常気象にも強い
大地再生農業の土を見た
地球沸騰化時代に 堂々不耕起宣言
地上部の生育は悪くても サトイモのイモ数2倍!
災害級の暑さからサトイモを守った 草と寒冷紗のWマルチ
豪雨後でもスニーカーで入れた 土着菌ハンペンが広がる不耕起畑
線状降水帯でも被害なし 刈り草と菌よ、ありがとう