季刊地域・秋号:お米と田んぼの誘引力(当校掲載)

季刊地域・秋号:お米と田んぼの誘引力

農文協が発行する『季刊地域・秋号』が届きました。今号の特集テーマは「お米と田んぼの誘引力」。ここ最近、稲作や田んぼの価値に注目が集まっているなか、この特集はまさにタイムリーな一冊です。田んぼというと、ただの農地という印象を持たれる方も多いかもしれませんが、本号では田んぼが持つ”人を引き寄せる力”や”地域に与える影響”を、さまざまな角度から描いています。

記事の中では、農家が水田をどのように維持し、その風景や文化がいかに次世代に継承されていくべきかが丁寧に紹介されており、読むほどに「田んぼは地域の誇りであり、未来の資源でもある」と感じさせられました。単にお米を作るだけの場ではなく、観光、教育、交流、地域再生…多面的な価値を持つ田んぼの姿が、温かい言葉とリアルな現場の声によって生き生きと語られています。

そして、今号では私自身の提唱する「里山年金」の構想を、約4ページにわたって掲載いただきました。これは、里山にある資源――例えば竹林や間伐材、未利用農地や地域食材など――を活用し、小さな収益を積み重ねて、定年後の”暮らしの年金”のようにしていこうという考え方です。お金を積み立てるのではなく、地域の資源を仕組み化し、少しずつ利益を生み出す。それが結果として、老後の安心や地域との関係をつなぐ柱になるのです。

掲載された記事では、すでに取り組みを始めているチバニアン兼業農学校での実践事例も紹介され、具体的な収益の組み立て方や参加者の声にも触れています。農村に眠る資源を活かすことで、地域の未来をつくるだけでなく、自分自身の人生設計にも直結するという提案に、多くの読者が共感してくださるのではないかと思っています。

ちなみに、稲作について個人的な補足ですが、農水省の発表では1反(1000㎡)の稲作にかかる作業時間は約23時間ほどであり、収量はおおよそ500~600kgとされています。これはあくまで私自身の所感ですが、これほど効率が良いならば、少量でも自ら稲作に挑戦してみるのは十分に現実的で、特に兼業農家や週末農業にとっては大きな可能性だと感じています(この点は今回の誌面に直接掲載されている内容ではありません)

私たち学校としても、こうした社会的潮流をしっかりと受け止め、生徒や地域に伝えながら、実践を伴う学びに変えていきたいと考えています。お米や田んぼを通して広がる未来に、いま改めて大きな可能性を感じさせてくれる、そんな秋号でした。

本の概要

お米がこんなに注目されるのはいつ以来でしょう。でも、値段が高いか安いかという話題だけでは残念です。今号の特集は「米騒動の『次』へお米と田んぼの誘引力」。いま自分で米をつくることに関心を寄せている消費者と、そんな人たちを巻き込もうと新しい試みを始める農家・農村の動きを取り上げています。これらの中には、「令和の米騒動」の昨年から今年にかけて始まっていることが多いのもおもしろいところです。この秋、米産地は大幅アップした1俵3万円前後のJA概算金(米代金の仮払い)に沸いています。しかし底流では、高齢化や農家の減少を乗り越えるべく、もっと力強い動きが始まっているのではないでしょうか。日本のあらゆる農村には田んぼがあり、やる気になれば、どこでも田んぼを核にした愉快な取り組みができる。そんな気持ちになる特集です。

目次


今号の撮っておき! 棚田の誘引力
特集 米騒動の「次」へ お米と田んぼの誘引力
道行く人をお米と田んぼのファンにするゲリラ炊飯 滋賀県長浜市・OneSlash
お米の学びなおし講習会 熊本県津奈木町
人生初の米づくり 田んぼが自分と地域を変えていく 島根県邑南町 柘植賢志
子育て中のママ 農家とポット苗に感嘆する 岡山まごころ給食審議会 横西文代
自治会の米づくりが始まった 長野県長和町中組区
早わかり図解 田んぼは水でつながる 人をつなぐ
○消費者も仲間
「自給家族」の家族のあり方が見えてきた 愛知県豊田市・しきしまの家運営協議会
石高プロジェクト…福島県西会津町/パートナー募集…千葉県南房総市・やぎ農園
Work Rice…新潟県・にいがたイナカレッジ/稲株主制度…岡山県美作市・英田上山棚田団
棚田の生きものに会いに親子が大勢やってきた 新潟県上越市吉川区・川谷もより地区
○機械・道具どうする?
兼業農家8人で機械共同利用 熊本県天草市 山﨑剛
家庭水田、始めませんか 島根県海士町 宮﨑雅也
市町村の農機具マッチング 福島県鮫川村農林商工課 関根成人
小さい米づくりに役立つ道具・機械
はざ掛け米は持続可能な未来へつながっている 千葉県南房総市 八木直樹
イネ刈りバインダー トラブル対策ワンポイント 松澤努
はざ掛けの型の分布
ワラ細工で村おこし 長野県飯島町・わらむ 酒井裕司

もの申す
日本のエネルギー問題 ウソとホント
自然エネルギーをめぐる偽情報・誤情報 ファクトチェック 自然エネルギー財団高瀬香絵
照明LED化と冷媒ガスの進化で電気代半減、原発再稼働は不要 あかりみらい 越智文雄

集落
好評!0円空き家バンク 富山県上市町建設課 金盛敬司
空き家のミカタ(7) 徳島県・神山町移住交流支援センター 吉田涼子
農村RMOの始め方(6) いわて地域づくり支援センター 若菜千穂
ご当地おもしろスポーツ(8) 地面出し競争
「地域おこし協力隊」の活かし方 佐賀県地域おこし協力隊ネットワーク 門脇恵
もうひと花咲かせましょう あなたもわたしも(3) とやけの森 日野宏敏


多面的機能支払で「直営班」が大活躍 熊本県錦町 農地・水・環境保全組織
農業大学校と連携、集落営農の後継者を育てる 山口県農林水産部農業振興課 久保雄生
地方で挑戦するあなたへ 地域マーケティング講座(6) くつろぎたいのも山々 猪原有紀子
唄は農につれ農は唄につれ(7) ノンフィクション作家 前田和男

地エネ
黒潮町のゼロカーボン防災型まちづくり 高知県黒潮町環境政策室 坂本恒星

防災
いつでもそのまま食べられる 備蓄おにぎり 宮崎県宮崎市 大幡正敏

山・里山
「里山年金」のすすめ チバニアン兼業農学校 平山泰朗
ペーパーハンターを獣害対策の助っ人に 地域共同獣害対策推進協会 松坂義之
まちづくりは木から始まる(3) 長野県松川町 田中大也

地撮り!33 限界集落の小さな挑戦 田んぼでSUP
田舎カフェ16 茶畑に囲まれていっぷく 鹿児島県南九州市 瀬川知香
ゆるくらジャーナル 本・映画 輝く図書館 読者の声
なぜ君は農家になれないのか ?
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