失敗が怖くて動けない人への農業Q&A

農業に興味がある。定年後は畑のある暮らしをしてみたい。そう思いながら、何年も動けずにいる人は少なくありません。理由を尋ねると、多くの人が同じ言葉を口にします。失敗したらどうしよう、という不安です。

農業に興味がある人は多い。でも、最初の一歩を一人で踏み出せる人は、ほとんどいません。

失敗を恐れること自体は、悪いことではありません。お金や時間をかけて始める以上、慎重になるのは自然な反応です。問題なのは、その不安の正体がはっきりしないまま、気持ちだけが足踏みを続けてしまうことです。

この記事では、農業を始める前に多くの方が感じる不安を、Q&Aの形で一つずつ具体的に整理していきます。漠然とした怖さを、準備できる形に変えるための材料にしていただければと思います。

お金と資金についてのQ&A

Q. 初期費用はどれくらいかかりますか。失敗したら大きな損になりませんか。

A. 兼業を前提にするなら、専業就農のように最初から大きな設備投資をする必要はありません。小さな面積を借り、必要最小限の道具だけで始める方法もあります。農林水産省が公表した令和5年新規就農者調査結果によると、令和5年の新規就農者数は4万3,460人で、前年に比べ5.2%減少しました。就農者数が減少傾向にある背景には、初期投資の重さを懸念して踏み出せない人が一定数いることも関係していると考えられます。だからこそ、最初から大きな借入や設備投資を前提にせず、小さく試しながら規模を判断していく進め方が現実的です。

Q. 農業を始めて、もし上手くいかなかったら、投資したお金は戻ってきませんか。

A. 兼業という形を選ぶ一番の利点は、本業の収入を確保したまま小さな規模で試せることです。専業でいきなり農地や機械に大きな資金を投じてから合わないと気づくよりも、兼業で小さく始めて合わないと分かる方が、金銭的な傷は浅く済みます。うまくいかなかったとしても、そこで得た知識や経験は、次の判断に必ず活きてきます。

Q. 50代から始める場合、新規就農者向けの補助金は使えますか。

A. 国の新規就農者育成総合対策のうち、就農直後の生活を支える経営開始資金は、独立・自営就農時の年齢が原則49歳以下という要件があり、年間最大150万円を最長3年間交付する制度です。50代で就農する場合や、本業の収入がある兼業の形では対象外となることが多く、この制度の前提が専業就農に置かれている点は先に知っておいた方がいい部分です。一方で、機械や資材の導入を支援する市町村・県独自の助成など、年齢や就農形態を問わずに使える支援が用意されている地域もあります。募集条件は自治体ごとに違うため、農地を探す地域が決まった段階で、その市町村の農政担当窓口に直接確認するのが確実です。

Q. 兼業で農業をやって、どれくらいの収入になりますか。

A. 正直に言えば、一律の目安になる数字はありません。作る品目、農地の広さ、売り先が直売所なのか個人への直販なのかで、手取りは何倍も変わります。数字より先に決めておいた方がいいのは、自分がどちらを目指すのかという点です。本業の収入に少し上乗せする形で続けるのか、いずれ農業の比重を上げていくのか。前者なら、最初から売上を追わずに、資材費と労力が見合う範囲に規模を抑えた方が長く続きます。収入の見込みは、農地の広さと品目が決まってはじめて計算できるものなので、先輩農家に実際の数字を聞ける場に出ておくのが一番の近道です。

Q. 農業で収入が出たら、確定申告はどうなりますか。

A. 会社員として給与を受け取っている方の場合、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると、確定申告の対象になります。農業で得た所得もここに含まれます。所得は売上そのものではなく、売上から種苗費・肥料費・農機具費などの経費を差し引いた金額なので、始めた年は経費が上回って所得が出ないことも珍しくありません。帳簿づけを最初の年から習慣にしておくと、規模を広げたときに慌てずに済みます。青色申告を使う場合は事前の届出が要るため、税務署か税理士に早めに確認しておくと安心です。

農地と地域についてのQ&A

Q. 農地選びで、多くの人が陥りやすい失敗はありますか。

A. よくあるのが、広さや立地といった条件だけで農地を決めてしまい、貸し手や地域との関係づくりを後回しにしてしまうケースです。農地を借りるには、農業委員会への申請など地域とのやり取りが欠かせません。技術を学ぶ前に、まず地域の人や先輩農家とつながっておくことで、農地探しの段階でつまずくリスクを減らせます。

当校の受講生の中にも、農地探しの段階で半年ほど足踏みしていた方がいます。地域の農業委員会や先輩農家に相談する場に出るようになってからは、条件に合う農地の情報が少しずつ集まるようになり、実際に借りる決断に進むことができました。一人で情報を探し続けるより、地域とのつながりを先につくる方が、結果として近道になることがあります。

Q. 農地を借りるのに、何か資格や許可は必要ですか。

A. 農地を借りる、または買う場合は、原則として農地法第3条にもとづく農業委員会の許可が必要です。以前は一定面積以上を耕すことが条件とされていましたが、2023年4月1日施行の改正農地法で、この下限面積の要件は廃止されました。小さな面積から始めることが制度上できるようになっています。ただし、借りた農地をすべてきちんと耕作すること、必要な農作業に常時従事すること(原則として年間150日以上が目安)、周辺の農地利用に支障を出さないことといった要件は残っています。兼業でどこまで認められるかは、作物や地域の実情をふまえて農業委員会が判断するため、自己流で計画を固める前に相談しておくと、申請の段階でつまずきにくくなります。なお、市民農園や体験農園として貸し出されている区画は、この許可なしで借りられます。

Q. 農地は借りるのと買うの、どちらがいいですか。

A. 兼業で始める段階では、まず借りることをおすすめします。購入すると、代金に加えて登記の費用や固定資産税といった負担が続き、途中で合わないと分かったときに手放しにくくなります。借りる形なら、初期の出費を抑えたまま、その土地の水はけや日当たり、地域との相性を実際に確かめられます。なお、購入する場合も農地法第3条の許可が必要になる点は借りる場合と同じです。何年か耕してみて、この場所で続けたいと思えたときに購入を検討する。この順番の方が失敗の芽を小さくできます。

Q. 都心に住んでいますが、通える範囲に農地はありますか。

A. あります。実際、当校の受講生の多くは首都圏の会社にお勤めの方で、平日は都内で働き、休日に千葉の畑へ通う形をとっています。ただ、通いやすさは続けられるかどうかを大きく左右します。片道2時間を超えると、天気が崩れた週末に足が遠のきやすくなります。農地を選ぶときは、広さや条件よりも先に、自宅から無理なく通える時間かどうかを基準にしてみてください。月に何回通えるかを先に決め、その回数で手が回る面積を逆算する。この順序で考えると、放置してしまう畑を抱えずに済みます。

時間・体力・家族についてのQ&A

Q. 会社員を続けながら、体力的に本当に続けられますか。

A. 農作業には体力が必要な場面もありますが、すべての作物が毎日の重労働を求めるわけではありません。根菜類や豆類など、水やりや手入れの頻度が少ない作物から始めれば、平日は本業に集中し、休日だけ畑に通うという形も十分に成立します。無理に規模を広げず、続けられる範囲を最初に決めておくことが、体力面での失敗を防ぐ一番の方法です。当校で草刈りや里山整備の実習に参加した受講生からも、最初は体力的についていけるか不安だったが、月に数回のペースで少しずつ体が慣れていった、という声が聞かれます。

Q. 家族に反対されたら、どう向き合えばいいですか。

A. 家族の不安の多くは、よく分からないものへの警戒心から来ています。説明会や体験の場に一緒に参加してもらい、実際の畑や、すでに兼業で農業を続けている人の話を見てもらうことで、不安が具体的な理解に変わることがあります。頭ごなしに説得しようとするより、まず現場を一緒に見てもらうことが近道です。

Q. 始めてみて、やっぱり自分には合わないと感じたら、どうすればいいですか。

A. 合わないと感じたら、無理に続ける必要はありません。兼業という形は、本業を続けながら試せる分、そこでやめるという判断をしても、生活そのものが揺らぐことはありません。専業就農でいきなり大きく踏み出していた場合と比べて、この「小さく試して、合わなければやめられる」という選択肢があること自体が、兼業就農の強みです。やめることは失敗ではなく、次の選択のための情報を得られたということです。

Q. 天候不順や病害虫で、収穫がゼロになることもあるのではないですか。

A. あります。農業は天候に左右される仕事で、どれだけ準備しても思うようにいかない年は出てきます。ただ、兼業であれば本業の収入が土台にあるため、その年の収穫が振るわなくても生活が傾くことはありません。加えて、一つの作物に全部を賭けず、収穫期の違う品目を3つほどに分けておけば、被害が出ても全滅は避けられます。当校の実習でも、同じ畑で春夏の野菜と秋冬の野菜を組み合わせる作付けを扱っています。うまくいかない年があることを最初から想定に入れておくこと自体が、続けるための備えになります。

Q. 農業の経験も知識もまったくありませんが、大丈夫ですか。

A. ほとんどの方が同じ状態から始めています。当校の受講生も、大半は農業とは無関係の仕事をしてきた会社員の方です。作物の育て方は本や動画でも学べますが、実際につまずくのはそこではなく、土の状態の見方、農機具の扱い、地域の人との関わり方といった、現場でしか身につかない部分です。だからこそ、独学で全部そろえてから始めようとせず、実習や体験の場で手を動かしながら覚えていく方が早く進みます。分からないことをその場で聞ける相手がいるかどうかが、最初の1年を左右します。

今日からできる具体的なアクション

不安を分解できたら、次は小さく動いてみる番です。以下の3つから、できることを一つ選んでみてください。

  1. 自分が農業に使える時間を、平日と休日に分けて書き出してみる
  2. 気になる作物や活動を1つか2つに絞り込んでみる
  3. 農地を探す前に、まず現場を見に行く(説明会や体験講義に参加してみる)

まとめ

ここまで、失敗への不安をQ&Aの形で一つずつ整理してきました。資金のことも、農地のことも、体力や家族との関係も、具体的に見ていけば、対処できる形に変えていけるものばかりです。

ありがとうございます。ここまで読んでくださったこと自体が、もう一歩です。

今すぐ全部を決めなくても大丈夫です。ただ、ひとつだけ、気になったQ&Aの答えを誰かに話してみてください。それだけで、不安は少しずつ輪郭を持ち始めます。

農業を人生の逃げ道としてではなく、人生を広げる選択肢として考えてみたい方は、下記の無料説明会で、農地の探し方や兼業で農業を始める流れ、そして今日お伝えしたような不安への向き合い方について、具体的にお話しします。

無料オンライン説明会申し込み

参加費無料・オンライン開催の説明会。所要時間は約60分、Zoomでご自宅から参加できます。

農地の探し方、農業委員会申請の準備、兼業で農業を始める流れ、先輩農家のリアルな話をわかりやすくお伝えします。ニックネーム参加・顔出しなしでもOK。まず情報収集として、お気軽にご参加ください。

参加希望日
ニックネーム
住所
無料オンライン説明会参加
60歳一本勝負!佐藤誠さんの再挑戦:51歳のキャリアとライフスタイルの再設計
当校の特徴
入学案内